日頃から天日干しと外干しの違いや区別をして正しく干せているでしょうか。今回はそんな天日干しと外干しのやり方の基本から注意すべき点を解説致します。
天日干しの目的や理由と天日干しマーク

天日干しとは直接日光に当てて干すことを言います。カラッと晴れた日に洗濯物を干すとお日様のいい匂いがする~なんてと感じたことはありませんか。
天日干しをする理由の一つとして殺菌や消臭効果が挙げられます。水洗いできないお布団や枕などは特に天日干しすることで、太陽の光や風を受けて中にこもった湿気が飛んでふっくらとした仕上がりになります。
そしてもう一つは部屋干しに比べて乾きが早いことです。厳密に言うと温度や湿度の状態にもよりますが、短時間で乾かすことができる天日干しは部屋干しでよく起きる生乾き臭の心配も要りません。
これを聞くと洗えないものに限らず、全ての洗濯物は天日干しで良いのでは?と思ってしまいますが、実はそうとも限りません。衣類によっても適した干し方というものがありますので、まずは洗濯表示を確認していきましょう。
乾燥には大きく自然乾燥とドラムを回転させながら衣類に熱を当てて乾燥させるタンブル乾燥の2種類があります。
自然乾燥における洗濯表示は以下の通りです。
![]() | つり干しが良い |
![]() | 日陰でつり干しが良い |
![]() | ぬれ平干しが良い |
![]() | 日陰でぬれつり干しが良い |
![]() | 平干しが良い |
![]() | 日陰で平干しが良い |
![]() | ぬれ平干しが良い |
![]() | 日陰のぬれ平干しが良い |
あれ?と思った方もいらっしゃるはず。この洗濯表示からも分かるように自然乾燥の中でも日陰干しを記す表示はありますが、天日干しを記すマークが存在しません。
それはなぜでしょうか。天日干しを推奨する衣類はないのか、あったとしたらどうやって見分けば良いのか、次に天日干しのメリット・デメリットからその理由を考えていきましょう。
天日干しのメリットとデメリット

ここでは天日干しで得られる効果や間違った認識を持ちやすい点をメリット・デメリットとして分かりやすく挙げていきます。
天日干しには殺菌消臭効果がある
冒頭で述べたように、直射日光をあてて乾かす天日干しは紫外線の影響で殺菌効果が得られます。そして早く乾くことで菌の繁殖を防ぐことができるためその結果、消臭効果もあるというわけです。
天日干しでふわふわになる
人は寝ている間にコップ1杯分に相当する汗をかくため、毎日寝ているお布団は多くの汗を吸収しています。
湿っぽく、重たくなった布団を天日干しすることで湿気が放出され、ふわふわの布団に復活したり快適な状態を維持することができます。
天日干しは直ぐ乾く
天日干しは太陽の光や熱だけでなく、風に当たることによってより早く乾かすことができます。部屋干しにはおこらない「風」は洗濯物を早く乾かすうえで必要な要素の一つです。
天日干しは黄ばみなどの漂白効果がある
紫外線は殺菌効果だけでなく、実は漂白効果も期待できます。紫外線は色素を分解する働きがあるため、まるで魔法のように黄色いシミを打ち消してくれます。
お洗濯で落とせるだけでの汚れをしっかり落としてシミを薄くした状態で天日干しをしてみて下さい。なかなか落ちなかったカレーやミートソースなどのシミを消してくれるので驚くこと間違いありません。
天日干しでダニは死なない
よく混同してしまいますが、殺菌効果はあってもダニは別物。天日干しではダニの繁殖を抑えることはできても、ダニ自体を完全に退治することはできません。
ダニを死滅させようとすると50℃以上で30分以上の乾燥か、60℃の乾燥のどちらかが必要になります。
外干しと陰干しとの違い

外干しとは屋外で洗濯物を干すことを指し、陰干しは直射日光の当たらない日陰で干すことを言います。 つまり外干しは直射日光が当たるか当たらないかは関係なく、外で干すことを「外干し」、陰干しは直射日光が当たらない場所であれば、屋外でも室内でも「陰干し」ということになります。
それぞれの特徴を挙げてみると以下の通りです。
屋外であれば全て外干しと呼ぶ。
直射日光が当たる場所か、当たらない場所かは特定しない。
直射日光が当たらない場所を陰干しと呼ぶ。
屋外か屋内かは特定しない。
天日干しにおすすめの素材とNGの素材

次に必ずおさえておきたい天日干しに適した素材(もの)、NGの素材(もの)についてご紹介します。
水洗い不可のもの(布団・枕・座布団など)
無着色のもの
厚手のもの
洗いざらしのもの
綿・麻・シルク・ウールなどの天然繊維
色鮮やかなものや濃い色のもの
天日干しは紫外線による色褪せや劣化などのダメージがあるため、特に上述のNGのものには注意が必要になります。
天日干しのやり方

それでは実際に天日干しのできるもののやり方をご紹介していきます。洗濯表示で干し方について特別な内容が記されていなければ基本的には以下のポイントをおさえておけば大丈夫です。
天日干しと天気や季節
まずは天日干しというのですから、天候や季節が密接に関係してきますのでパターン別に解説していきます。
天日干しにおすすめの天気や気温や湿度
天日干しでの理想湿度は40%以下です。寒い冬の季節でも日が照っている時間帯なら天日干しはできますので気温はそこまで気にしなくても大丈夫です。
ただし、雨が降った翌日などは湿気が多くなるためおすすめはできません。
直射日光が当たらない曇りは外干しは避けるべき?
直射日光に当てることで得られる殺菌・消臭効果は期待できませんが、絶対に避けるべきというわけではありません。
湿度が40%以下であれば、外干しすることでお布団などに溜め込んだ湿気を逃す効果はあります。
雨の日や梅雨時期や濃霧の外干しは可能か?
雨や濃霧の日はいくら囲いや屋根があって直接的に濡れなかったとしても、湿度が高くなるため外干しには向きません。
どうしても干したい時は、浴室乾燥や布団乾燥機などの家電製品を活用するのがおすすめです。
雪や寒い日の外干しは可能か?
雨と同様に雪も溶けて水分となり洗濯物を湿らせてしまう恐れがあります。また雪の降る寒い日のように低温で高湿度だと水分は蒸発することができず、洗濯物は乾きにくいため外干しには向きません。
そんなお天気の日には、エアコンの暖房を大いに活用しましょう。暖房によって室内の湿度が下がるためちょうど洗濯物を乾かすのに適していますし、人が室内で過ごすうえでも適度に加湿されて快適になるはずです。
天日干しと時間

次におすすめの時間帯や乾く時間など時間にまつわる疑問を解説していきます。
天日干しに効果的な時間帯や取り込む時間
天日干しの効果的な時間帯は紫外線の量が多くなる10時頃から14時頃がおすすめです。ただし季節によっては直射日光を長時間当てすぎると紫外線で日焼けや色褪せなど傷めてしまう可能性がありますので注意が必要です。
特に日差しの強い夏場は2時間程度に抑えましょう。
天日干しで乾く時間は何時間?
一般的な目安は以下の通りです。
■春 5時間前後
■夏 2時間前後
■秋 5時間前後
■冬 6時間前後
洗濯物を乾かすには「風」「湿度」「温度」の3つの要素が関係してきます。それぞれ季節ごとの目安にはなりますので、お天気予報の洗濯指数をあわせてチェックすることもおすすめします。
夜中まで外干しは臭いや夜露でNG
天日干しのつもりが、そのまま夜中まで放置してしまったらなんとなくNGなのは感覚としてお持ちかもしれませんが、ズバリその理由は日中せっかく乾いた洗濯物が再び濡れてしまうからなんです。
もしかしたら親やおじいちゃん、おばあちゃんから「洗濯物を夜露にあててはいけない」なんて言う言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、迷信や縁起が悪いだけではなくこれには根拠があります。
夜露(朝露)は昼と夜の寒暖差によって空気中の水蒸気が水滴になったもので、それには空気中のほこりなどのゴミも含んでいるため衛生的ではありません。
つまり、せっかく乾いた洗濯物を濡らしてしまうだけでなく、汚れをつけてしまうため夜中まで干し続けることはNGなのです。
更に、夜は昼よりも気温が低くなり風も少なく、洗濯物にとって乾きにくい状態。 そして夜露で湿らしてしまうと、生乾きの嫌な臭いの原因にもなりかねません。
天日干しにおすすめの洗濯洗剤
以前に比べると洗剤・柔軟剤の種類も増えて何が一体良いのか、どのような使い分けをすればい良いのか迷ってしまうほどではありませんか。
「部屋干し専用洗剤」謳っている洗剤を見ると惑わされてしまいますが、これまで日本は外干しが主流でしたので改めて外干し専用や天日干し専用と謳っている洗剤はほとんどありません。
逆に部屋干し専用は紫外線の殺菌効果や消臭効果が得られないことを想定しているため、従来の洗剤よりも洗浄力や殺菌力が強いものが多いですが、天日干しに使っても問題ありません。
ただし一つ気を付けるとすると、蛍光増泊剤や漂白剤が含まれている洗剤は色柄物では色褪せが目立ちますので避けておいた方が無難です。
■アタック ZERO(ゼロ) 洗濯洗剤 液体 ワンハンドプッシュ

蛍光増泊剤、漂白剤無配合の衣類を傷めにくい中性洗剤です。ワンハンドプッシュでこれまでありそうでなかった使いやすさが人気の一つ。
もちろん生乾き臭、落ちにくい頑固な汚れ、洗剤残りをゼロにする「ゼロ洗浄」で衣類をきれいにしてくれます。
天日干しで柔軟剤の匂いが消える理由
柔軟剤には衣類に香りづけをしつつ、生地をやわらかくする効果もあるので、天日干しとあわせればさらにふわふわに仕上げることができます。
しかし天日干しをした後、香りが消えてしまっている…と感じたことはありませんか。実は直射日光にあてて干す天日干しをすると、紫外線や風などで柔軟剤の香りが飛んでいってしまいます。
柔軟剤の効果である「良い香り」と「ふわふわした肌触り」の両方を得るためにも、洗濯物は乾いたらすぐにとり込むことを心がけましょう。
天日干しは裏返しにして干すべき?
直射日光を当てて乾かす天日干しは洋服を裏返しにして干すことをおすすめします。それは紫外線による色褪せを防ぐだけでなく、生乾きから発生する嫌な臭いを防止することができます。
衣類の裏側はポケットや生地の重なっている部分が多くあり、表側に比べて乾きにくいため裏返し干しは天日干しでも部屋干しでもおすすめの干し方なんです。
天日干しする場所が無い場合の対処法
天日干しをしたいもので一番かさばるのがお布団です。十分な天日干しできるスペースが確保できない場合は、布団乾燥機や紫外線照射付きのクリーナーなどの家電製品を活用することをおすすめします。
重たい布団を持ち運びせず、お天気も気にせずいつでも使えるのでとても便利です。また天日干しでは効果が得られないダニ対策までもできるので購入する価値は十分あります。
天日干しで日が当たらない場合の対処法
お住まいの立地条件上、日の当たらないベランダもありますがそんな場合でも心配ご無用です。天日干しできなくても屋内でも同様の効果を得ることができるからです。
天日干しのメリットである殺菌や消臭効果については部屋干し専用の抗菌や消臭に特化した洗剤にするだけで補うことができます。
また乾きやすくするために、洗濯乾燥機や浴室乾燥やエアコンの衣類乾燥機能を活用する手もあります。それらの機能がない場合はサーキュレーターや除湿機などのお助けグッズを使用すれば生乾きも怖くありません。
天日干しでのトラブル対処方法

最後に天日干しをすることで起こるトラブルとその対処法をケースごとにご紹介します。
天日干し後に臭い原因と対処法
殺菌消臭効果があるとされる天日干しにも実は例外があります。生乾きの嫌な臭いの原因である「モラクセラ菌」は紫外線では残念ながら消滅しません。
そのため天日干しをした後も嫌な臭いがすることがあります。この「モラクセラ菌」は60℃以上の熱で死滅するため、煮洗いや乾燥機やアイロンなど高温の熱を与えるようにしましょう。
天日干しで排気ガスやpm2.5の対処法
空気中には排気ガスやpm2.5など私たちの体に悪影響されるものが多く浮遊しているため、天日干しには多くの懸念材料があります。
排気ガスに関しては交通量の多い時間帯を避けて干すこと、pm2.5に関しては環境省「そらまめくん」のサイトにてお住まいの地域に絞り状況をリアルタイムに知ることができるため、天日干しする際はこれらで対策ができます。
また、排気ガスやpm2.5から守ってくれる洗濯物カバーなどの便利グッズも多く販売されていますので上手に活用するのも良いでしょう。
万が一洗濯物に付いてしまった場合は、はたくだけでは不十分なので再度洗い直しをすることをおすすめします。
天日干しで色褪せや日焼けなど変色の対処法
直射日光を当てる天日干しは紫外線の影響で衣類も日焼けや色褪せなどの変色が起きてしまいます。そのため色の濃いものは特に注意が必要です。
先程ご紹介した裏返し干し、そして紫外線カットの洗濯物カバーで洗濯物を覆うことで対策が可能です。
天日干しで花粉の対処法
花粉の量はお住まいの地域によってもばらつきはありますが、基本的に花粉症の症状が出ている方や小さなお子様がいらっしゃるご家庭は部屋干しが無難です。
しかし、それでも天日干しをする場合は洗濯物を取り込む際に手で花粉を取り払うようにしましょう。バサバサ衣類を振り払うのではなく、表面をなでるように上から下へと払い落とすことがポイントです。
この作業だけで洗濯物に付着した花粉の約4~6割落とすことができます。
天日干しで虫の対処法
外干しするとつきものなのが虫問題です。特に春から夏にかけては蛾、蜂、カメムシなどの様々な虫が洗濯物に寄ってきます。
苦手な方は洗濯物に虫が付いているだけでもとるのに一苦労するのではないでしょうか。それだけではまだしも糞や卵を産み付けている可能性もあるので、虫を寄せつかない対策が必要です。
一番手っ取り早いのは、防虫剤を洗濯物と一緒に吊るしておくことです。徹底してつけたくない場合は、洗濯物を覆って虫から守るガードネットもおすすめです。
あとは香りによってくる虫もいますので無香料の柔軟剤にするのも一つです。
天日干しで縮む服や劣化などの対処法
綿や麻などの天然素材やデニム生地は特に熱で繊維の収縮を促してしまいます。縮んだ服をお洗濯で元に戻すことは難しいため、これらは特に風通しの良い場所での陰干しをおすすめします。
万が一縮んでしまった場合は、着用を繰り返して徐々にご自身の体に合うように生地を伸ばすことや、スチームアイロンで生地を緩めながら優しく伸ばす方法や、リンスや柔軟剤に浸して緩める方法があります。
いずれも自己責任のうえで行う処置にはなりますのでトラブルにならないようにリフォーム専門としているプロやクリーニング店に相談することをおすすめします。
投稿 失敗しない天日干しや外干しのやり方をプロが解説 は coromoé に最初に表示されました。