毎日洗濯しているのにどうして服は黄ばんでくるのでしょうか。白色のワイシャツや白色のTシャツを綺麗にカッコよく着こなすためには黄ばみを制すと言っても過言ではありません。
今回はそんな黄ばみの原因に合わせた落とし方を紹介していきます。
服の黄ばみの落とし方!プロが教える洗濯方法

先ずは基本の黄ばみの落とし方を説明していきます。その後に原因や汚れの箇所などパターン別の原因や落とし方を説明します。
服の黄ばみにおすすめの洗剤
パターン別におすすめの洗剤を紹介します。
- いつもの洗濯で使う洗剤
- 染み抜きで使う洗剤
- つけ置き洗いで使う洗剤
いつもの洗濯で使う洗剤
液体の洗濯洗剤を使用しているご家庭が多いと思いますが、液体の洗剤は中性洗剤がほとんどです。
皮脂や油、ヤニ、タンパク質などは酸性の汚れのためアルカリ性の洗剤を使った方がそれらの汚れは落ちやすくなります。
中でもより効果的なのは粉末タイプです。粉末と聞くとあまり使い勝手がよくないイメージがありますが、最近の粉末の洗濯洗剤は水でも溶けやすくできているため洗剤の溶け残りを気にしなくても大丈夫です。
ただし洗剤の成分に蛍光増泊剤などが含まれているものは、色物衣類を白っぽくさせてしまいます。洗剤を適切に使い分けるためにも白物と色物を分けて洗濯することをおすすめします。
■アタック高浸透リセットパワー

出典「Amazon」
ワイドハイターEXパワー共同開発の洗濯用洗剤。酸素系漂白剤が入っているのでいつものお洗濯洗剤をこれに変えるだけで洗い上がりが違います。つけ置き洗いにもおすすめです。
染み抜きで使う洗剤
黄ばみがシミになっている場合、染み抜き剤として使えるものが食器用洗剤と重曹を1:1の割合で作るペーストです。歯ブラシを使って優しくトントンとこすると落ちやすくなります。
油汚れに強い台所用洗剤はこのような部分的な染み抜きに使えるアイテムになります。
また研磨剤入りの歯磨き粉を使った染み抜き方法もありますが、こちらは着色汚れを落とす作用はあるものの、歯磨き粉は繊維の奥に残りやすいためしっかりすすがないと残ってしまう可能性があります。
その点では扱いにくいため、リスクを考えた上で行いましょう。
つけ置き洗いで使う洗剤
色柄物でも安心して使える酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗いをおすすめしてきましたが、こちらも液体よりも弱アルカリ性の粉末タイプがより効果的です。
市販の酸素系漂白剤を使用するのも良いですし、粉末の酸素系漂白剤の主成分である過炭酸ナトリウムも同様に使えます。過炭酸ナトリウムは100円ショップでも購入でき、お掃除などでも幅広く使うことができるので一つあると便利です。
同じく100円ショップでも手に入るクエン酸(酸性)は、酸素系漂白剤(アルカリ性)で漂白した衣類を中性に戻す役割をしてくれます。
酸素系漂白剤に浸け置きした後、水ですすぎ、二度目のすすぎの際にクエン酸ですすぐと黄ばみに効果的です。また柔軟剤のような役割にもなります。
ただし、クエン酸は必ず単品で使用して下さい。洗剤や塩素系漂白剤などと混ぜると有害なガスが発生しますので大変危険です。
服の落ちない黄ばみには漂白剤
酸素系漂白剤(ワイドハイター)よりも漂白剤が強いのが塩素系漂白剤(ハイター)です。白物衣類に限られてはしまいますが条件が合えばもちろん使用できます。
塩素系漂白剤は、酸性の洗剤と有毒なガスが発生するため混ぜると危険なので、使用する際は十分に注意して下さい。
同じ塩素系漂白剤というカテゴリーではカビキラーは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらはおすすめしません。
生地を傷めてしまいます。ただしキッチンハイターならふきんやおしぼりに使えるものなので、ふきんと同素材である綿や麻であれば代用することはできます。
漂白剤を使用する前には衣類の裏側にあるタグの洗濯表示を必ず確認してから適切に行いましょう。どのタイプの漂白剤が使用できるかどうかは以下のような三角のマークで記されています。
![]() | 酸素系漂白剤は使用可能だが塩素系漂白剤は使用禁止 |
![]() | 塩素系及び酸素系の漂白剤を使用可能 |
![]() | 塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止 |
つけ置き洗いや煮沸など煮洗い
■つけ置き洗い
つけ置き洗いはつけて置くだけなので簡単で取り入れやすい洗い方です。④の工程ではつけ置きしていたお湯が汚れていたら、お湯を捨て軽くすすいでから洗濯機に投入しましょう。
準備するもの
- 桶やバケツなどの衣類が入る容器
- 粉末の酸素系漂白剤
- 重曹
手順
- 桶やバケツなどの容器に40℃前後のお湯を張る
- 水量に合った酸素系漂白剤と、同量の重曹をお湯によく溶かす
- 1時間ほどつけ置きする
- お湯ごと洗濯機に入れて洗う
■煮沸などの煮洗い
煮洗いはその名の通り、火にかけて煮て汚れを落とす方法です。頑固な黄ばみには洗剤の力と熱の力のダブルでスッキリ落としましょう。
使用する洗剤はいつもの洗濯洗剤や重曹など、汚れの具合、洗浄する衣類によって使い分けることもできます。今回は黄ばみを落とすために粉末の酸素系漂白剤を使用する方法を紹介します。
この煮洗いは臭いの元となる殺菌効果も期待できますが、長時間の煮沸は服の生地を傷めてしまいますので注意しましょう。
準備するもの
- 大きめの鍋(琺瑯、ステンレス製)又は火にかけれる桶
- 菜箸
- 粉末の酸素系漂白剤
手順
最初に洗濯表示より60℃以上の液温でも洗えるかを確認します。以下の通り桶の中の数字が液温の温度を示しています。
![]() | 液温は60℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる |
問題なければ煮洗いを進めていきましょう。
- 衣類の入る大きさの鍋でお湯を沸かす
- ぐつぐつしてきたら洗剤と衣類を投入
- 弱火で菜箸で時々混ぜながら10分〜20分煮る
- 火を止めたらそのまま冷ます
- しっかりすすいで乾かすか、通常の洗濯をする
時間が経った服の黄ばみの落とし方
時を重ねて蓄積された黄ばみは一度のつけ置きや煮洗いだけでは簡単に落ちないかもしれません。
職人のシミ抜きのように一つ一つ汚れを丁寧に剥がしていくような根気の要る作業になることでしょう。
意地になって漂白剤の濃度を必要以上に濃くしてみたり、長時間つけ置きをすることはくれぐれも避けて下さい。そこまで黄ばみでお悩みならばプロの力を借りましょう。
服の黄ばみの原因とパターン別の落とし方
見た目だけでなく、衛生的にも「清潔感」はとても大切です。あらゆる原因から黄ばみ知らずの洗濯方法を紹介していきます。
服の脇や襟元や袖の黄ばみの原因と落とし方

黄ばみの代表的な部分と言えば「脇」「襟元」「袖」ではないでしょうか。特に白や淡い色が多いワイシャツでお悩みの方が多いはずです。これらの原因は汗や皮脂汚れです。
特に肌との距離が近く皮膚と生地が擦れやすいため、より繊維の奥まで入り込みやすい場所です。その皮脂汚れがいつものお洗濯だけではきれいに落としきれず、蓄積され酸化して「黄ばみ」へと変化していきます。
黄ばんだ部分に直接洗濯洗剤を塗布してから洗濯をすることや、酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗いも効果的です。
また、黄ばみにダイレクトにアプローチしてくれる部分専用の洗濯洗剤もあるので、上手に活用しましょう。
服の汗染みが黄ばみになる原因と落とし方

汗ジミによる黄ばみは汗の中に含まれる「リポフスチン」という色素と皮脂の酸化によるものです。汗をかいた服をそのまま放置しているとシミとなって更に頑固な黄ばみとなってしまいます。
できるだけ汗をかいた服はこまめに洗濯することをおすすめします。そして、皮脂汚れが落ちやすい40度前後のお湯を使って洗いましょう。
未使用の服に黄ばみがある原因と落とし方

未使用の状態であってもそれまでに多くの人の手に渡り出来上がった洋服ですので、手垢などの見えない汚れは付着しているものだとして考えましょう。
未使用で黄ばみが出る原因は、着用や洗濯をせずにしばらくの間そのまま保管をしていたことです。そのため購入後は一度お洗濯しておく方が気持ちよく着用も保管もできます。
また新品の服には糊付けされていることが多いため、その糊が保管中に酸化して黄ばみとなることがあります。
この場合は漂白剤でのつけ置き洗いが効果的です。色柄物でも安心して使える酸素系漂白剤がおすすめです。
もう一つは洋服を購入時のビニールカバーに含まれている「酸化防止剤」が原因の黄ばみです。換気が十分でない屋内では特に起こりやすいため注意しましょう。
酸化防止剤の付着による黄ばみはもう一度洗濯をすると消えることが多いですが、それでも消えない場合は先述と同様に酸素系漂白剤でのつけ置き洗いをしましょう。
クローゼットに保管した服の黄ばみの原因と落とし方

保管中に発生するトラブルは多く、その中でも黄ばみは様々な要因は考えられます。一番多いのは落としきれていない汗などの水溶性の汚れが湿気と反応してしまったことです。
この場合も漂白剤でのつけ置き洗いがおすすめですが、時間が経過した黄ばみには酸素系漂白剤の中でも粉末タイプの方が洗浄力が高いためより効果的です。
経年劣化で黄ばみが全体にある服の原因と落とし方

経年劣化となるとそれだけ時間が経ち、汚れも蓄積されているはずですので頑固な黄ばみであることが想像できます。
目に見えていないだけで汗や皮脂などの汚れだけでなく、繊維には洗剤や柔軟剤が落としきれず残っている可能性もあります。そしてそれらが酸化して黄ばんでしまっていることが考えられます。
全体的に落としたい時はやはりつけ置き洗いがおすすめです。色柄物でも安心して使える酸素系漂白剤に頑固な黄ばみには重曹を加えると更に効果が期待できます。
それでも落ちない場合は煮洗いもおすすめです。ぐつぐつ煮ることで殺菌効果も得られます。
ただし、繊維自体の経年劣化などで変質してしまった黄ばみはお洗濯では回復させることは難しいです。ご自身で判断つかない場合はクリーニング店に相談してみましょう。
香水のシミで服が黄ばむ原因と落とし方

香水は精油や合成香料などの匂い成分をブレンドして作られています。体温で揮発させてそれぞれの香りを楽しむのが本来の使い方ですが、洋服に付けて使用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、香水は服につくとその成分から油性のシミとして残ってしまい、それが酸化すると黄ばみとなってしまいます。
洋服につけようと思っていなくても香水を付けた肌と直接触れる部分にも付着して生地に浸透してしまうことはよくあります。
そんな香水が原因の黄ばみを落とすためには油分を分解するアルコールを使うと落ちやすくなります。
無水エタノールがあればベストですが、なければ消毒用アルコールでもOKです。無水エタノールは特に引火しやすいため火のそばでは作業せず、換気を行える場所で使用して下さい。
香水のシミの付いた部分を下にして、その下にタオルを敷きます。シミの部分にアルコールを吹きかけて優しく歯ブラシでトントンします。
この時、シミが広がらないようにシミの外側から内側の順番で行いましょう。その後はいつも通りのお洗濯をすれば完了です。
服が日光の紫外線で日焼けで黄ばむ原因と落とし方

お天気の良いは日光にあててカラっと干したい気持ちになりますが、何かと「陰干し」を推奨されていて実際には直射日光に当てて乾かして下さいという衣類はほとんど見かけることはないのではないでしょうか。
それは紫外線が染料の色素を分解してしまう働きがあるからです。そのため本来の発色機能が果たせなくなったり、繊維から脱落してしまう事があります。
紫外線には殺菌効果はあるものの、人の体だけでなく衣類にとっても良くありません。その中でも黄ばむ原因として考えられるのは「蛍光増白剤」が含まれている洗剤を使っている場合です。
この「蛍光増白剤」は白物衣類を更に白く見せるため繊維状に染着させて、青色発光によって増白効果を生む働きがあります。
しかし蛍光増白剤が紫外線の影響によって劣化してしまうと、黄ばんでしまうことがあります。
これらはシミや汚れなどの黄ばみとは違うため洗濯で落とすのではなく、染色補正を施すことで修復することや目立たなくすることになります。
洗濯とは少し違う分野になりますがクリーニング店でも行ってくれるお店もありますし、染め直しを専門とするお店もあります。
服が日焼け止めで黄ばむ原因と落とし方

日焼け止めに含まれる「紫外線吸収剤」というものが原因で黄ばみが発生します。この場合の黄ばみは汗染みなどとは少し違った鮮やかな色味となります。
紫外線吸収剤の成分としては「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」や「t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン」などがありますが、なかなか覚えられないと思いますので簡単に言うと白くならないタイプの日焼け止めで使われています。
日焼け止めも肌に付けるものなので肌と直接触れる部分は特に洗い方に注意しましょう。
日焼け止めを使用したら洗濯の前に酸素系漂白剤で軽くつけ置き洗いや、直接洗剤を塗布してから洗濯するなど一工夫するようにしましょう。
タバコのヤニで黄ばむ原因と落とし方

タバコのヤニと聞くと「黄ばみ」を連想する方が多いのではないでしょうか。タバコで歯や壁紙が黄ばむならば洋服も黄ばみます。
この黄ばみの原因とはタバコの煙に含まれるタールと呼ばれる強い油性の物質です。
高温で燃やされることによって気化し、付着して固まると頑固な汚れとなってしまいます。おまけにこのタールには粘着性もあるためどんどん汚れを蓄積していきます。
時間が浅ければ通常の酸素系漂白剤のつけ置き洗いでも落ちますが、時間が経過してしまった汚れはその分時間をかけて汚れを落とす覚悟をしましょう。
漂白を何度も繰り返していくうちにだんだんと落ちるので根気よく行いましょう。ただし漂白を繰り返すとその分、衣類にもダメージを与えてしまいますのでこの点は衣類の状態をみながら進めて下さい。
白物衣類であれば塩素系漂白剤も使えますが、使用できない素材や装飾品の付いた服もありますので事前に確認をしてから使用しましょう。詳しくはこの後の黄ばみの落とし方で説明します。
母乳などタンパク質で服が黄ばむ原因と落とし方

母乳などに含まれているタンパク質は時間が経つと固まる特徴があります。
そのため母乳などが服に付いてしまった場合は、すぐに水で洗い落としておかないと酸化して固く黄色いシミとなってしまいます。
それだけでなく50℃以上で固まる性質もあるため、洗う時は水かぬるま湯を使用することもポイントです。多くの汚れはお湯で洗うと落ちやすくなりますが、タンパク質の汚れは逆の認識になることを覚えておきましょう。
基本的にすぐに汚れを水で洗った場合は、通常のお洗濯をすれば問題ありません。しかし時間が経過してしまった場合は染み抜きの要領で洗濯前に前洗いをして下さい。
おすすめは重曹と台所用中性洗剤を1:1の割合でペーストを作り、汚れている部分に歯ブラシで塗布し繊維に馴染ませる方法です。その後はいつものお洗濯をすればスッキリ汚れを落とすことができます。
ヘアオイルで服が黄ばむ原因と落とし方

ヘアオイルは植物性、動物性、鉱物性と大きく3種類あるものの、いずれもその名の通り油ですので服に付くといつもの洗濯では落としにくく、時間が経過してしまうと酸化して黄ばみとなってしまいます。
落とし方としてはできるだけ早く対処するのがカギになってきます。少量であったりオイルが付いてすぐなら台所にある食器用洗剤で優しくもみ洗いで落とせます。それでも落ちない場合はクレンジングオイルがより効果的です。
クレンジングオイルをシミの部分につけてその下にタオルを敷き、油をかき出すイメージで歯ブラシで優しくトントンしましょう。
その後はいつものお洗濯をすれば大丈夫です。どちらの場合ですすぎは水よりもお湯の方が落ちやすくなります。
服の黄ばみを予防する方法と普段のお手入れ
アクシデントによることもありますので全てではないですが、未然に防げることは日頃から習慣づけておきましょう。以下のような予防とお手入れしておきましょう。
- 風通しの良い場所で保管する
- 日光の当たる場所で干さない
- 換気扇の下も含め部屋ではタバコは吸わない
- インナーを着て汗が服に付かないようにする
- 日焼け止めを使用したら前洗いをしておく
- 保管前にはしまい洗いをする
クリーニングでの服の黄ばみの落とし方

基本的にクリーニング店では衣類の素材にあわせて水洗いできるもの、できないものと分けて洗浄しています。
水洗いできないウールなどの縮みやすい素材を扱うドライクリーニングでは、水を使わず有機溶剤というものを使用して洗浄しています。このドライクリーニングの特徴は油溶性の汚れを落としますが、水溶性の汚れを落とすことができません。
つまり、ドライクリーニングだけでは黄ばみの原因の一つである汗などの水溶性の汚れを落とすことができません。
そのためドライクリーングと水洗いの両方行う方法や、水は使用しませんが水溶性の汚れを落とせる特殊な加工剤を使って洗浄する方法があります。
黄ばみが部分的にシミになっている場合は有料の染み抜きになるケースもあります。これらはクリーニング店によっても洗浄方法は異なり、技術の差が出やすい分野になります。
それらを一括して委ねることになりますので、信頼してお任せできるお店を慎重に選びましょう。
投稿 服の黄ばみの原因と落とし方をクリーニングのプロが解説 は coromoé に最初に表示されました。