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服に付いた油のシミ抜きをクリーニングのプロが解説

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日常生活の中で、食べ物などの油汚れが服につくことは少なくありません。いつもの洗濯方法では十分に落とすことができず、油汚れが頑固なシミになることもあります。

大切な衣類にシミを残さないために、正しいシミ抜き方法を覚えておけばあわてずに対処できますので、ぜひ参考にしてください。

油の成分とシミが取れない理由

シミには、大きく分けて「水溶性」「油溶性」「混合性」の3種類があります。シミの種類によってシミ抜き方法がそれぞれ異なるため、シミの性質を見極めることが大切です。

油溶性の汚れ皮脂、食用油、口紅、ファンデーションなど
水溶性の汚れ汗、食塩、砂糖、醤油、果汁、酒など
不溶性の汚れ泥、墨、錆、ガムなど

衣類に付く油のシミは「油溶性」に該当します。この「油溶性」のシミは、水に溶けにくい性質を持っているため、通常通り洗濯機で洗うだけでは落とし切ることができません。

油の染み抜き方法

油の染み抜き

油が付いてできたシミの染み抜きを始める前に、必ず洗濯表示を確認して下さい。

洗濯表示 桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる
洗濯表示 桶に手は40℃を限度に手洗い可能桶に手は40℃を限度に手洗い可能
洗濯表示 桶に×は家庭での洗濯禁止桶に×は家庭での洗濯禁止

手洗い表示の場合は手洗いで、家庭での洗濯禁止の場合はクリーニングに依頼して下さい。

油の染み抜きに必要な物

食器用洗剤には、食器の油を分解させるための成分が配合されているため、油を分解するには、食器用洗剤が役立ちます。

  • 食器用洗剤
  • 液体洗濯洗剤
  • 歯ブラシ
  • 洗面器やバケツなどの容器
  • お湯

油は温度が上がると粘度が下がり、布の繊維から浮きやすくなるので、シミ抜きをするときは、水よりも40~60℃のお湯が効果的です。

油の染み抜き手順

1.固形物がある場合はシミを広げないように注意しながら、ティッシュなどでつまんで取り除いておきましょう。

2.洗面器などの容器に40~60℃のお湯をはり、シミ部分を浸し、油を緩ませます。

3.食器用洗剤をシミに直接かけ、優しくもみ洗いして汚れを押し出します。

4.歯ブラシで、汚れをかき出すように細かく擦り洗いしましょう。

5.洗面器のお湯を変えながら、お湯が濁らなくなるまでしっかりすすぎましょう。

6.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であればそのまま洗濯機に入れていつも通り洗濯をしましょう。

洗濯後に落ちない油のシミの取り方

シミが付いてから時間が経ってしまうと、洗剤だけでは落ちない場合があります。そんなガンコなシミは、酸素系漂白剤で漂白しましょう。酸素系漂白剤であれば、色柄物にも安心して使うことができます。

洗濯表示 三角は塩素系及び酸素系の漂白剤を使用可能三角は塩素系及び酸素系の漂白剤を使用可能
洗濯表示 三角に斜め線2本は酸素系漂白剤は使用可能だが塩素系漂白剤は使用禁止三角に斜め線2本は酸素系漂白剤は使用可能だが塩素系漂白剤は使用禁止
洗濯表示 三角に×は塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止三角に×は塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止

漂白剤を使用可能か、どのタイプの漂白剤ならOKかを、必ず洗濯表示を確認した上で進めて下さい。

用意する物

  • 酸素系漂白剤
  • 液体洗濯洗剤
  • 洗面器やバケツなどの容器
  • ゴム手袋

手順

1.洗面器などの容器に40~60℃のお湯を入れ、酸素系漂白剤と液体洗濯洗剤を適量入れてよくかき混ぜます。

2.シミ部分が洗浄液に浸かるように入れ、2時間程度つけ置きします。

3.軽く水気を切り、いつも通り洗濯機で洗いましょう。

時間が経った油のシミの落とし方

シミがついてから長時間経ってしまった油のシミには、ベンジンを使ってみましょう。ベンジンとは液体の有機溶剤のことで、薬局やドラックストアなどで売られています。

ベンジンは衣類の繊維を傷めず油分をよく溶かす性質を持っているため、デリケートな衣類に使えるのもポイントです。色落ちしないかどうかを確認した上でご使用下さい。

用意する物

  • ベンジン
  • 中性洗剤
  • 歯ブラシ
  • タオル

引火の危険があるので、火気がない事を確認してしっかりと換気して下さい。また、色落ちしないかどうか、衣類の目立たないところで確認してから作業に入る様にしましょう。マスクをし、肌が弱い方はゴム手袋を使用して下さい。

手順

1.シミの部分にタオルを当てて、衣類を裏返します。

2.衣類の裏側からベンジンをつけた歯ブラシで、シミの部分をトントンと叩き、シミをタオルに移していきます。

3.シミが落ちたら、ベンジンをつけた部分を中性洗剤で洗います。

4.軽くすすいで、ふつう通り洗濯機で洗って完了です。

ベンジンは揮発性が高いので、シミ抜き後はそのままでも乾いてしまうので水洗いできない衣類にも使えます。

外出先で油のシミの応急処置

油溶性のシミは水で洗うだけでは落とすことができない上に、時間が経つとさらに頑固なシミになってしまいます。

外出先など、すぐに洗えない場所で油のシミを付けてしまったら、できる限り早く応急処置を施すことで、帰宅後の洗濯でシミを落としやすくすることが出来ますので覚えておきましょう。

用意する物

  • ティシュやタオル
  • ハンドソープ

応急処置の手順

1.固形物がある場合はシミを広げないように注意しながら、ティッシュなどでつまんで取り除いておきましょう。

2.乾いたティッシュやタオルで、ゴシゴシ擦らないで押さえる様に油分を吸い取ります。

3.乾いたティッシュなどをシミの裏側に当て、水を含ませたティッシュにハンドソープを付けシミを軽くトントン叩き、シミを移していきます。

4.シミの裏側のティッシュを取りかえ、水を含ませた新しいティッシュで押さえ、衣類に残っている洗剤を取ります。

5.乾いたティッシュなどで水分をしっかり吸い取ります。

油のシミをクレンジングオイルで落とす方法

クレンジングオイルは、油分を含んだお化粧を落とすために作られているため、油汚れを落とすのにも適しています。

用意する物

  • クレンジングオイル
  • 歯ブラシ
  • タオル

手順

1.シミ部分の裏側にタオルをあてておきます。

2.クレンジングオイルをシミにつけ、シミ部分の周りから内側に向かって、歯ブラシでトントンと軽く叩いていきます。※油のシミは輪ジミになりやすいので、シミの周囲も叩いておきましょう。

3.お湯の濁りがなくなるまで、しっかりすすぎます。

4.シミが落ちたら、衣類の洗濯表示に合った洗濯方法で洗濯をします。洗濯機が使える衣類であればそのまま洗濯機に入れて通常通り洗濯をしましょう。

クレンジングオイルは水に弱いという特徴があるため、濡れている衣類にクレンジングオイルを使用すると乳化し、洗浄力が低下してしまうので、衣類が十分乾いている状態で使用するようにして下さい。

油のシミを重曹で落とす方法

お掃除でも大活躍の重曹は、油汚れを分解するのが得意で、衣類のシミ落としにも使えます。自然由来の成分で、カラダにも環境にもやさしい安心素材のため、デリケートな洋服にもおすすめです。

1.水3:重曹1の割合で混ぜ合わせ、重曹ペーストを作ります。

2.シミ全体を覆うように重曹パックを塗り、なじませます。

3.そのまま、30分程放置します。

4.お湯ですすぎ、重曹を洗い流します。

5.シミが落ちたら、いつも通り洗濯機で洗いましょう。

油のシミは炭酸水で落ちる?

炭酸水の二酸化炭素には汚れを浮かせてくれる性質が水に溶ける性質を持つ「水溶性」のシミを落とすのに使うと効果的です。

しかし、油を多く含む「油溶性」のシミは、炭酸水単体で落とすことは難しく、シミを分解することはできません。

ただし、シミが付いた直後であれば、油溶性のシミでも汚れを取りやすくするサポート役にはなってくれます。

油のシミはレモンで落ちる?

ミカンやレモンをはじめとした柑橘類フルーツの皮には、リモネンとよばれる成分が含まれています。リモネンはレモンのにおいを生み出す成分である一方、油の性質を持っているため、油を分解してくれます。

シミ部分にレモン汁を塗り、1時間ほどおいておきます。お湯ですすぎ、仕上げに洗濯機で洗いましょう。色落ちすることがあるので、色柄ものは要注意です。

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