スエードはその柔らかな手触りと高級感で知られる素材ですが、汚れやすくお手入れが困難な面もあり、適切なケアを怠ると、すぐに見た目が損なわれてしまう恐れがあります。
そこで、この記事ではスエードの洗濯方法と汚れの落とし方を、プロの視点から解説します。
これから紹介する方法をマスターすれば、あなたの大切なスエード製品を長く美しい状態で保つことができます。
スエードとは
スエードは、特有の柔らかさと独特の質感を持つ革製品の一種です。
スエードの特徴は、その起毛した表面にあります。
この起毛感は、革の内側の層、すなわち動物の皮膚の下側を磨いて仕上げることによって生み出されます。
通常、牛革や羊革などが用いられることが多いですが、他の種類の動物の皮革を使うこともあります。
スエードは柔らかく、豊かな質感が特徴で、これが革製品の中でも人気の高い理由の一つです。
しかし、その起毛した表面は水や汚れに弱いという特性も持ち合わせています。
そのため、スエード製品のお手入れは通常の革製品と異なり、特別な注意とケアが必要になります。
スエードは靴、バッグ、ジャケット、家具など幅広い製品に使用され、その独特の風合いは、エレガントでありながらカジュアルな印象も与えるので、多くのファッションやインテリアデザインにおいて重宝されています。
スエードの洗濯失敗のリスクと注意点

スエードの洗濯は、特殊な素材の性質上、失敗すると大きなダメージを与えるリスクがあります。
以下に、そのリスクと注意点を説明します。
洗濯失敗のリスク
水濡れによるシミや変色
スエードは水に弱く、不適切な洗濯方法で水濡れにするとシミや変色を引き起こす可能性があります。
これは、スエードの起毛した表面の特性上、水分が均等に行き渡らず、局所的に色の変化が生じるためです。
硬化や縮み
水や熱によってスエードが硬くなったり、縮んだりするリスクがあります。
特に、乾燥方法に誤りがあると、スエードの柔らかさが失われ、元の質感を取り戻すことが難しくなることがあります。
起毛感の損失
スエードの特徴である起毛感は、不適切な洗濯で損なわれる可能性があります。
洗濯により起毛部分が潰れたり、毛羽立ったりして、スエード特有の風合いを失う恐れがあります。
洗濯時の注意点
洗濯タグを確認する
スエード以外の製品でも言えることですが、洗濯を行う際はまず製品についている洗濯タグを必ず確認しましょう。
洗濯タグには、その製品の取り扱いについて表記されており、それに従ってお手入れをすることで、大切な衣類を守りながら洗うことができます。
ドライクリーニング推奨
スエード製品は基本的にドライクリーニングを推奨します。
自宅での水洗いは避け、専門のクリーニング店に依頼することで、スエード特有の質感と形状を維持することができます。
汚れはなるべく早めに処理する
スエードに汚れが付着した場合は、深く染み込み落としずらくなる前に処理することが重要です。
それぞれの処理方法は、後ほどご紹介します。
水洗いは慎重に
万が一自宅で水洗いする場合は非常に慎重に行い、必ず冷水を使用し、押し洗いなど優しい方法で洗います。
できるだけ手洗いを行い、洗濯機は使わないようにしましょう。
自然乾燥を心掛ける
洗濯後は自然乾燥を心掛け、直射日光や熱源を避けることが重要です。
乾燥機の使用は避け、形を整えて風通しの良い場所で陰干しします。
スエードは非常に繊細な素材であるため、洗濯やケアには特別な配慮が必要です。
適切な方法でメンテナンスを行うことで、スエード製品を長く美しく保つことができます。
スエードの基本の洗濯方法

スエードの魅力はその独特の質感と高級感にありますが、この美しい素材は適切な洗濯方法を知っているかどうかでその状態が大きく左右されます。
これらの手順を正しく実行することで、あなたのスエード製品はいつまでも新しく美しい状態を保つことができるでしょう。
まずは、スエードの洗濯でおすすめの洗剤をご紹介します。
スエードの洗濯におすすめの洗濯洗剤
![]() | ■アクロン(おしゃれ着洗剤) 「キレイ修復洗浄」で、気になる1日着た後の 首元・そで口などの伸び・ヨレをケア。 シルキータッチ成分と繊維保護成分(SAPA) 2つの成分が繊維をコーティングするので 洗濯中にできる毛玉はもちろん、 着ている間のこすれ毛玉も防ぎます。 |
![]() | ■エマール(おしゃれ着洗剤) おしゃれ着洗剤でご存じの方も多いエマールは ダメージリペア技術で内側から繊維を補修するので ピンとハリを取り戻します。 |
![]() | ■さらさ(中性洗剤) 蛍光剤・漂白剤・着色料無添加のさらさは、 クエン酸配合で手ごわい汚れやニオイも 洗浄します。 |
また、スエードの洗濯において、通常の洗濯洗剤の代わりに頭髪用シャンプーを使用することができます。
シャンプーの利点は、人の髪を洗うために作られているため、必要以上に強力ではなく、自然な洗浄力を持っている点にあります。
これにより、スエードの繊細な起毛面を傷めることなく、汚れを効果的に落とすことが可能です。
スエードの自宅での洗濯手順
スエードの自宅での洗濯は、その独特な素材の性質を考慮する必要があり、特に洗濯機の使用は避けるべきです。
スエードは洗濯機で洗うと、強い水流や脱水の力によって素材が傷み、起毛面が損なわれる可能性があります。
また、洗濯機の中での摩擦や圧縮は、スエードの繊維を縮めたり硬くしたりする原因になります。
そこで、これから手洗い方法についてご紹介します。
スエードの衣類
- おしゃれ着洗剤(シャンプーも可)
- 柔軟剤
- 洗面器(収まらなければ浴槽や洗面台を使う)
この時点で、汚れやホコリを落とす
量は洗剤に記載の規定量を守ること。
絶対に強く擦らない。風合いが損なわれるだけでなく、生地が傷む原因となります。
スエードの風合いを保ち、静電気防止の効果もあります。
スエードの靴
- おしゃれ着洗剤
- 柔軟剤
- 食器洗い用スポンジ
- 雑巾
- 靴用のブラシ
- 靴用の防水スプレー
- タライ(靴が入る大きさ)
この時点で、汚れやホコリを落とす
量は洗剤に記載の規定量を守ること。
絶対に強く擦らない。風合いが損なわれるだけでなく、生地が傷む原因となります。
スエードの風合いを保ち、静電気防止の効果もあります。
ヒールや装飾品の付いた靴などは軽く絞る程度でOK
スエードにカビが生える原因と落とし方や予防方法
カビの種類は「白カビ」と「黒カビ」の主に2種類あります。
以下は白カビと黒カビの特徴を比較した表です。
特徴 | 白カビ | 黒カビ |
---|---|---|
発生源 | 多湿な環境、食品 | 慢性的な湿気、水漏れ |
健康への影響 | 一般的には害が少ないが、アレルギー反応を引き起こすことも | 呼吸器系の問題、アレルギー反応、場合によっては有毒 |
見た目 | 白い綿のような外観 | 黒または緑がかった黒い斑点 |
白カビと黒カビは発生源や健康への影響、見た目、発生場所において異なる特徴を持っています。
原因
■高い湿度と不十分な通気
カビは湿気の多い環境で成長しやすく、特に通気性の悪い場所では湿気がこもりやすいため、これらの条件はカビの繁殖に理想的な環境を提供します。
■直射日光の不足
日光には自然な消毒作用があり、カビの成長を抑制します。日光が不足すると、その効果が得られずカビが生えやすくなります。
■汚れや汗の蓄積と不適切な保管
スエードに蓄積された汗や汚れはカビの栄養源となり、これがカビの成長を促進します。また、長期間密閉した状態での保管は湿気を閉じ込め、カビ発生のリスクを高めます。
これらの条件が揃うと、スエードにカビが生えやすくなります。したがって、これらの状況を避けることが、カビ予防の鍵となります。
カビの落とし方
- アルコールスプレー
- 古布
- 靴用ブラシ
- 新聞紙
- 防水スプレー
カビの予防方法
■適切な保管
スエード製品は湿気を避けて保管することが重要です。
通気性の良い場所で、直射日光を避けながら保管しましょう。また、保管時には除湿剤を使用すると良いでしょう。
■定期的な換気と乾燥
スエード製品を保管している場所は定期的に換気し、湿気を避けるようにしましょう。
特に湿度が高い季節や地域に住んでいる場合は、除湿機の使用を検討することも有効です。
■スエード専用の防カビスプレーの使用
スエード専用の防カビスプレーを定期的に使用することで、カビの予防が可能です。ただし、スプレーがスエードに適しているかを確認し、使用前に必ずテストを行ってください。
これらの方法を実践することで、スエードにカビが生えるのを防ぎ、万が一発生した場合でも効果的に対処することができます。
しかし、カビが広範囲にわたる場合や深刻な場合は、専門のクリーニングサービスを利用することが最善です。
スエードの油シミの染み抜き方法
スエードの洗練された質感は、日常のちょっとしたアクシデントによって簡単にその魅力を損なう可能性があります。
特に、灯油や自転車の油のような油性のシミは、スエードの繊細な素材に厄介な汚れです。
そんな、厄介な油性のシミを落とすため方法をご紹介。
重曹またはコーンスターチ
- 重曹またはコーンスターチ
- タオル
- 歯ブラシ
付着したばかりであれば、深く浸透する前にできるだけ拭き取る
吸収材の役割を果たすので、小さく盛り上がりができるぐらいまで乗せてOK
タオルの水分がスエードに付着するとスエードが傷む可能性があるので注意
食器洗剤
食器洗剤を使用するにあたり、事前に把握しておくべきリスクがあります。
- 食器洗剤の成分が合わない場合がある
- 大量の水で洗い流すためさらに生地を傷める可能性がある
上記を踏まえたうえで、実践してください。
- 食器洗剤
- タオル
- 歯ブラシ
付着したばかりであれば、深く浸透する前にできるだけ拭き取る
量は多すぎることはないですが、スエード自体あまり水にさらさない方が良いため、最後に水で洗い流すことを忘れないようにしておきましょう。
スエードが濡れても構わなければ、水で洗剤を洗い流しましょう。
スエードの雨に濡れた時の手入れや水染みの落とし方
スエードが雨に濡れた際の適切な手入れや水染みの対処方法として、スエード全体を均一に濡らすことで、水染みを目立たなくすることが可能です。
以下にその手順を説明します。
まず、水で湿らせたスポンジか柔らかいタオルを用意します。スポンジやタオルは十分に湿らせますが、滴るほど水を含ませる必要はありません。
スエード全体を軽くたたくようにして水で濡らします。
特に水濡れした部分だけでなく、水濡れしていない部分も含めて全体を均一に湿らせます。これにより、水染みを目立たなくし、スエード全体の色合いを均一にします。
通気性の良い場所で乾燥させることが重要です。
スエードが完全に乾いた後、専用のスエードブラシで優しくブラッシングし、起毛感を回復させます。ブラッシングはスエードの質感を整えるのに役立ちます。
この手入れ方法により、スエード製品が雨に濡れてしまった際の水染みや色ムラを効果的に軽減できます。
ただし、スエードはデリケートな素材なので、この処理を行う際は慎重に行い、必要に応じて専門のクリーニング店に相談することも検討してください。
スエードの洗濯後の乾燥方法

適切な乾燥方法は、スエードの質感や形状を保つために重要です。以下にその手順を説明します。
タオルで余分な水分を取り除く
洗濯後のスエードから余分な水分を取り除くために、柔らかいタオルを使って軽く押さえます。スエードを絞るのは避けてください、これは素材を傷める原因になります。
形を整える
特に靴やバッグの場合は、洗濯後に形が崩れる可能性があるので、形を整えます。
靴の場合はシューキーパーや新聞紙を使用して形を保ちましょう。
自然乾燥させる
スエードは直射日光や暖房器具を避けた場所で自然乾燥させるのが最適です。
熱によってスエードが硬くなったり、縮んだりする原因になるので、ドライヤーや乾燥機の使用は避けてください。
通気性の良い場所での乾燥
乾燥は風通しの良い場所で行い、スエード製品が完全に乾くまで待ちます。湿気の多い環境での乾燥は避けてください。
乾燥後のケア
完全に乾燥した後、スエード用ブラシで優しくブラッシングして、起毛感を回復させます。
これらの手順により、スエード製品を安全に乾燥させ、その美しい質感と形状を維持することができます。
衣替えでスエードが虫食いにならない保管方法

衣替えの際にスエード製品を虫食いから守るための適切な保管方法は、その長期的な保護と状態維持に重要です。
以下にスエード製品を安全に保管するための方法を説明します。
清潔に保つ
保管する前に、スエード製品が清潔であることを確認します。汚れや汗などは虫の誘引源となるため、必要に応じてクリーニングまたは適切な手入れを行います。
乾燥させる
保管する前にスエード製品が完全に乾燥していることを確認します。湿った状態で保管するとカビや虫の被害のリスクが高まります。
通気性の良い袋に入れる
スエード製品は通気性の良い布製の袋に入れて保管します。プラスチック袋は避け、通気性の良いコットンバッグなどを使用することが理想的です。
防虫剤の使用
虫食いを防ぐために、防虫剤を使用します。
ただし、これらの製品が直接スエードに触れないように注意し、製品との間にバリア(例えば紙や布)を置くことが重要です。
適切な場所で保管
スエード製品は直射日光や湿気の多い場所を避けて保管します。温度と湿度が一定のクローゼットや引き出しが適しています。
定期的なチェックとメンテナンス
保管中も定期的にスエード製品の状態をチェックし、必要に応じて通気させたり、状態をメンテナンスを行いましょう。
これらのステップにより、スエード製品を虫食いから守り、長期間にわたってその質感と状態を維持することができます。
スエードのおすすめクリーニングと料金相場

おすすめクリーニング
スエード製品は一般的なクリーニング店よりも、専門の革製品クリーニングサービスを利用することがおすすめです。
これらの専門店では、スエード特有の質感を損なわない適切な洗浄と処理が行われます。
また、多くのスエード製品は水洗いに適していないため、ドライクリーニングが推奨されます。
ドライクリーニングでは、水を使用せずに特殊な溶剤で洗浄するため、スエードの状態を保ちながら汚れを落とすことが可能です。
スエードに小さな汚れやシミには、別途料金が発生する場合が多いですが、大切なスエード製品を適切にお手入れするためにもプロに依頼することをおすすめします。
料金相場
スエード製品のクリーニング料金は、アイテムの種類(例えば靴、ジャケット、バッグ等)、サイズ、汚れの程度によって異なりますが、一般的に通常の生地よりも高くなることが多いです。
例えば、スエードのジャケットやコートのクリーニングは、数千円から1万円以上かかることが一般的です。靴や小物の場合は、通常数千円程度からとなります。
クリーニングを依頼する前に、複数のクリーニング店から見積もりを取ると良いでしょう。
また、クリーニング店にスエード製品の取り扱い経験があるか事前に確認することも重要です。
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