泥汚れは洗濯をしても黒ずみや茶色いシミっぽく残ってしまう代表的な汚れです。
靴下ぐらいならまだしも、簡単に買い替えることのできないユニフォームや体操服の泥汚れと格闘しているママたちは多いのではないでしょうか。
しかし泥汚れはポイントさえおさえれば最小限の手間ですっきり落とすことができるようになります。
そんな泥汚れの家庭での落とし方や、クリーニングに出す方法などの泥汚れにまつわるお悩みや疑問を解決していきます。
泥汚れが洗濯しても全然落ちない理由

泥汚れに効くとされている洗剤を色々試してもイマイチ効果が実感できない…なんてことはないでしょうか。「プロ仕様」や「業務用」の洗剤で落ちなければ、もはや自力で落とすには限界があると諦めモードに入ってしまいます。
でもそれもそのはず、泥汚れは洗剤の力だけに頼るのではきれいに落とすことができないからです。
まず汚れには大きく3つ、油溶性・水溶性・不溶性に分類されることはご存知でしょうか。文字通りそれぞれ油溶性は油に溶ける汚れ、水溶性は水に溶ける汚れ、不溶性は油も水にも溶けないため一番落ちにくい汚れとされています。
その不溶性汚れの代表がまさにこの「泥」です。不溶性の汚れは固形汚れや微粒子汚れと言われることもあり、洗剤で溶けたり、漂白剤で色素を分解することができません。これが洗剤の力だけでは落とすことができない理由です。
そのため泥汚れをきれいに落とすには、洗浄力の高い特別な洗剤や漂白剤が必要なのではなく、細かい砂や土の粒を叩く、揉むなどの物理的な作業が必要です。
泥汚れの簡単な落とし方や洗濯方法

それでは具体的に泥の落とし方、洗濯方法をご紹介します。
泥汚れの落とし方や洗濯手順
泥汚れの前処理や予備洗い
前処理や予備洗いは洗濯機に投入する前に行う洗濯処理のことです。泥汚れを落とすにはこの前処理や予備洗いで落とせるだけの泥をおとしておくことが大切です。
この前処理や予備洗いさえしっかりできていれば、あとは洗濯機の機械の力だけで最小限の手間で泥汚れを落とすことが可能になります。
前処理や予備洗いの手順
濡れている場合は天日干しや、ドライヤーでしっかりと泥を乾かしましょう。
乾いたらこの時にはたけるだけの土や砂をしっかり落としてください。
洗濯ブラシや歯ブラシを使って行うのもおすすめです。ただし、泥を広げないよう一定の方向に動かしましょう。
いつも使っている液体洗剤でも良いですが、アルカリ性の固形石鹸なら泥以外の汗や皮脂などの酸性の汚れも一緒に落としてくれるのでおすすめです。
繊維の奥まで浸透させてしっかり洗剤を行き渡らせましょう。
もし広範囲に泥汚れが付いてしまっている場合は、約40℃のお湯に適量の洗剤を入れて洗浄液を作ったところに衣類をつけ置きましょう。
その洗浄液に浸けた状態で次のもみ洗いの工程に移ります。
泥汚れは繊維の奥に入り込んだ汚れをかき出すために擦る、揉むなどの地道な作業が必要です。この時、固めの洗濯ブラシを使うと便利です。
桶にぬるま湯をはったところですすぐ方法でも良いですが、服や靴下を裏返しにしてシャワーや蛇口からの流水の水圧を利用して汚れを押し出すようにすすぐのがおすすめです。
洗濯機入れる際は他の洗濯物と一緒に洗っても問題はないですが、洗濯機洗いの機械的な力も必要ですので入れ過ぎには注意しましょう。
泥汚れをいきなり水洗いしてしまった場合
とは言え、洗濯前に水洗いをしてはいけないなんて知らずに既に洗ってしまった…という人も多いはずです。
そんな時、泥汚れを落とす方法について調べると様々な情報が飛び交っていて一体何が効くのか分からず困ってしまいませんか。実際にそれらが効果があるかを考えていきましょう。
- 重曹
- クエン酸
- スクラブ洗顔料
- 歯磨き粉
- 固形石鹸
- 液体洗剤
- 粉末洗剤
以下、それぞれの説明になるので、面倒な方は次の項目まで飛ばして下さい。
■重曹
重曹は弱アルカリ性で汗や皮脂汚れなどの酸性汚れを落とすのが得意です。使用する洗剤との組み合わせ方次第で研磨剤、染み抜き剤、洗浄力を高める助剤の役割など幅広く活躍してくれます。
特に重曹は肌の弱い方や小さなお子様のいらっしゃる場合も安心して使用できるので、洗浄力を高めたい時はお持ちの洗濯洗剤に重曹を足してアルカリ度を高めてあげることができます。
自然由来成分のナチュラルクリーニングが実現できますが、重曹自体は泥汚れに直接的な効果はありません。
■クエン酸
その名の通りクエン酸は酸性のためアルカリ性の汚れに効果があります。水垢などの水回りのお掃除に便利です。洗濯においてはクエン酸をすすぎの際に投入すると石鹸カスを取り除いてくれたり、ふんわりと仕上がり柔軟剤代わりにもなります。
同じ酸性でもお酢と違って臭いもなく、水に溶けやすいところがメリットですが、泥汚れについてはこちらも効果が得られません。
■スクラブ洗顔料
男性用のスクラブ洗顔料で落とす方法もあります。スクラブの粒が繊維に入り込んで泥汚れを吸着して落としてくれるというものです。
確かに皮脂汚れなどを吸着する洗顔料なので、衣類に付いたそれらの汚れには効果があるかもしれません。しかし、泥汚れの落とし方としてはおすすめはできません。
おそらくスクラブで擦るという物理的な力で落ちている方が大きいはずです。そしてコスパもよくないので、現実的ではありません。
■歯磨き粉
研磨剤入りの歯磨き粉を使うと落ちるというお話もりますが、こちらもスクラブ洗顔料と同様に擦ったときの物理的な力で落ちていると考えた方が良いでしょう。
逆に繊維の奥に歯磨き粉が残りやすいので、すすぎ残しがあると後に汚れとなってしまう可能性も考えられます。おすすめはできません。
■固形石鹸
固形石鹸の中でも特にウタマロ石けんは泥汚れに強いイメージがある方が多いと思います。ウタマロ石けんは石けん成分だけでなく、蛍光増白剤が配合されているためより白く仕上げることができます。固めにできているので直接塗り込んだり、擦りやすいのも特徴です。
蛍光増泊剤が気になる方は無配合のものもあります。牛乳石鹸のように手洗いや洗顔などに使われるような石鹸や粉石鹸も使えますので洗濯用にこだわらなくても大丈夫です。
石鹸は全て弱アルカリ性なので、中性洗剤よりも汗や皮脂などの汚れに効果的です。
何より石鹸を使って「擦る」という作業が泥汚れには効いているので、お家にあるもの、ご自身が扱いやすい固形石鹸で試してみましょう。
■液体洗剤
液体なので生地に馴染みやすく、直接塗布してもみ洗いをするのも泥汚れに効果はあります。しかし、そのほとんどが中性洗剤です。
泥汚れの付いている服は汗や皮脂などもべっとり付いていることが考えられるので、それらの汚れもしっかり落とすには弱アルカリ性の方が向いていると言えます。
また液体洗剤の成分のほとんどは「水」なので、洗浄力を求める場合は「濃縮タイプ」を選びましょう。
■粉末洗剤
弱アルカリ性のものが多く液体洗剤よりも洗浄力が高いため、泥汚れとセットである汗や皮脂汚れもすっきり落とすことができます。
洗剤の溶け残りを懸念する方も多いですが最近の粉末洗剤は水に溶けやすく進化しています。今回のような泥汚れには粉末洗剤をお湯で溶かした洗浄液でつけ置き洗いをする方法が効果的です。
泥汚れにおすすめの洗剤
泥汚れ専用の洗剤がいくつも販売されていますが、少し価格が割高になってしまいます。いつもの洗濯洗剤とは何が違うのでしょうか。
特に泥汚れに効果があるのは、特に「酵素」と「分散剤」です。
酵素の中でも「繊維分解酵素(セルラーゼ)」が繊維を緩めたり広げる役割があります。そこに分散剤が泥汚れを剥がす働きをしてくれます。
この分散剤は汚れが再付着することも防いでくれるのでつけ置き洗いで汚れた洗浄液に漬けたままでも大丈夫なのはこのためです。
泥汚れ専用の洗濯洗剤の多くはこれらの成分が含まれていますが、専用洗剤ではなくても安価で類似している洗濯洗剤もあります。今後、購入前には少し手を止めて成分を見てみることをおすすめします。
■アタック高活性バイオパワー

出典「Kao」
特に「泥」汚れに強いとうたっている洗剤ではありませんが、アタック独自の繊維分解酵素と分散剤が含まれています。
泥汚れ専用とする洗剤はリン酸塩を使用した洗剤が多い中、アタック高活性バイオパワーは無リン洗剤のため環境にもやさしくできています。つけ置き洗いに使用するのもおすすめです。
アタックからは使いやすいスティック洗剤「アタックプロEX石けん」も泥汚れには好評でしたが、生産終了のため在庫が無くなり次第となります。気になる方は購入できるうちに買っておいて下さいね。
■ウタマロ石けん

出典「Amazon」
成分はとてもシンプルなので特別泥汚れに特化しているわけではありませんが、やはり固形の洗濯石鹸は擦りやすく泥汚れを落とすには向いています。
ウタマロ石けん専用のケースとあわせて使用すると塗り込みやすく、使いやすさがアップします。
■トップ NANOX ドロ用
出典「LION」
液を塗りながら汚れをかきだしやすいブラシ付きのため、靴下などの部分的に使用する場合はこれ一つあればとても便利です。
洗浄効果を落としてしまうとされる水道水や泥に含まれる金属含有成分に働きかける「キレート剤」が含まれるため、高い洗浄力が維持できます。
泥汚れにおすすめの漂白剤
基本的には冒頭で説明した通り泥汚れは漂白剤では落とせませんが、きちんと手順通り洗っても色素が残っている場合には漂白剤が効くこともあります。そのため、いきなり最初から漂白しても効果はないのでご注意ください。
漂白剤は大きく「塩素系漂白剤」と「酸素系漂白剤」の2種類あります。まずは対応できる衣類かどうか洗濯表示で確認が必要です。以下の通り参考にして下さい。
![]() | 塩素系及び酸素系の漂白剤を使用可能 |
![]() | 酸素系漂白剤は使用可能だが塩素系漂白剤は使用禁止 |
![]() | 塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止 |
塩素系漂白剤の主成分は次亜塩素酸ナトリウムなどで、ツンとした臭いが特徴です。漂白力が高いことがメリットですが使えるのは白無地衣類限定となり、酸性のものと混ぜると危険ですのでご注意下さい。
一方、酸素系漂白剤の主成分は過炭酸ナトリウムで色柄物にも安心して使えるので使い勝手の良い漂白剤になります。その酸素系漂白剤の中でおすすめをご紹介します。
■オキシクリーン ホワイトリバイブ 粉末タイプ

出典「GRAPHICO」
オキシ漬けで有名なオキシクリーンから頑固な汚れを落とす酵素と白さをアップする蛍光増泊剤が含まれた酸素系漂白剤です。
液体よりも粉末の方が漂白力が高く、つけ置きはもちろんのこと洗濯機洗いに足して使用もできるので手軽に使えます。
洗濯機で落ちない泥汚れの落とし方

洗濯機の機械的な力だけで落ちない場合の方法と注意点を確認していきます。
泥汚れを洗濯ブラシ等で落とす方法と注意点
泥汚れでは欠かせない揉んだり、叩いたりする方法では洗濯ブラシや歯ブラシはあると便利です。手でもみ洗いするよりも細かいブラシの毛先が土や砂などどの細かい粒子をかき出してくれます。
ただし、いくら物的な力が必要だといっても力まかせに擦ると生地を傷めてしまいますので注意しましょう。
固形石鹸や洗剤は、洗浄剤だけでなく潤滑剤の役割にもなるので必ず付けてから行ってください。以下の洗い方を上手に使い分けましょう。
■摩擦洗い
- ユニフォームや靴下など生地がしっかりしたものに
- 一方方向に軽くこする
- 布に対してブラシを直角に当てる
■たたき洗い
- 摩擦洗いで落ちない頑固な汚れやシミに
- 平らな場所でブラシの先でトントンと叩きだす
泥汚れにお湯での煮沸やつけ置き洗いの効果
■煮洗いの効果
煮洗いは熱を加えることで汚れを緩めたり、洗剤の洗浄力が高めることができます。
しかし、泥汚れにおいては、汚れの元である土や砂を熱で分解することができないため直接的なアプローチにはなりません。
ただし泥汚れ以外に付着している汗や皮脂などの黒ずみなどの汚れには効果がありますので、それらの汚れをすっきり洗い上げることは可能です。
また殺菌や消臭効果も期待できますので綿素材で白いものが多いユニフォームや体操服は煮洗い向きではあります。
■つけ置き洗いの効果
つけ置き洗いは、泥が落ちやすくするために必要な洗剤や漂白剤の力を発揮させることができます。水よりも40度程度のお湯を使うこともポイントです。
特に全体的に泥が付いてしまった場合はつけ置き洗いがおすすめです。衣類が浮いてこないようにしっかり衣類全体が洗浄液に浸かるようにしましょう。
水を張った洗面器を上に置いて重石代わりにするのもおすすめです。
また寒い季節は洗浄液の温度が下がりやすいため、桶に蓋やラップをして一定の温度を保つための工夫をしましょう。
泥汚れにスチームは効果があるか?
シミ抜きには高温のスチームを当てて汚れを浮かす方法があります。
その考えから泥汚れにおいても繊維を蒸気の力で柔らかくて汚れを繊維から引き離しやすく作用は働くかもしれませんが、スチームだけで得られる洗浄効果はそこまで期待できません。
スチームであればアイロンのスチームや衣類スチーマー以外にお掃除で使うスチームクリーナーを使うのも同じです。
またスチームクリーナーとよく比較されやすい高圧洗浄機なら、少し荒業ではありますが、強い水圧で繊維の奥に入り込んだ土や砂を落とす手段の一つとしてあります。
泥汚れに液体のりや水のりを使うコツ
様々な裏技がある中、泥汚れにはお家にある文房具の「液体のり」や「水のり」も耳にします。商品によって呼び名が違いますが、どちらもほぼ同じ成分ですので同じと考えて構いません。
前処理で泥をしっかり落としてぬるま湯で湿らせたあと、ボトル先のスポンジ部分を使ってそのまま汚れている部分に塗るだけです。
素材にしみこみやすく粘着力が強い液体のりが土や砂を一緒に吸着して落としてくれるというのです。
塗った後はすぐに洗濯機にいれるのではなく5分程放置してからにしましょう。液体糊の主成分であるポリビニルアルコールは合成樹脂の一種で洗濯のりにも使われています。
そのため水に溶ける性質がありますのですすがず洗濯機にそのまま投入しても問題ありません。
ただし、素材によっては生地を傷めてしまうことも考えられますので、目立たないところで試してから行うことがポイントです。
外出先での泥汚れの緊急的な応急措置

子供に限らず大人も雨の日の泥はねでスカートやパンツの裾についてしまうこともあると思います。この時の応急処置としても慌ててタオルで擦ったり、叩いたりするのも良くありません。
またよくやりがちなのが泥汚れに限らずおしぼりを使うのは注意が必要です。おしぼりは塩素系の漂白剤を使用しているため衣類が白っぽくなったり、変色してしまう可能性があります。
応急処置としては泥の水分を取るぐらいに留めておきましょう。乾いたタオルやハンカチを使って優しく水分を取るだけで無理に強く押し当てたりしないことがポイントです。
泥汚れをクリーニングで落とす

ご家庭で色々試してみても落ちなければプロにお願いする方法もあります。しかし、クリーニング店だからと言って特別な洗浄剤を使って泥汚れを一括して落とせるわけではありません。
冒頭で説明した通り、泥汚れは不溶性の汚れのため洗剤や漂白剤の力だけで落とすことはできないからです。
そのため有機溶剤を使ったドライクリーニングであっても泥汚れは落とすことができないため、叩いたり揉んだり地道に手間をかけて行う染み抜きの作業になってきます。
時間もかかるうえに通常のクリーニング代+染み抜き料金も発生するケースもあります。泥汚れの部分や汚れ具合にもよりますが相場は2,000~5,000円程です。
また自分で何も手を加えず泥の付いた状態の服をクリーニングに持ち込むのは?と疑問に思うところですが、これは断られる可能性があります。
受けてもらえてもその分料金が高くなるケースも考えられますので基本的には乾かして取れるだけの泥をはたいた状態にしておきましょう。
このように泥汚れは簡単に落とせる汚れではないため、依頼する際は染み抜きを得意とするクリーニング店を選ぶ事をおすすめします。
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