アルコール飲料をこぼしてしまい、衣類にシミを作ってしまったなど、お酒の席でのトラブルは多いのではないでしょうか。
大切な服にシミを残さないために、正しいシミ抜き方法を覚えておけばあわてずに対処できますので、ぜひ参考にしてください。
アルコールの成分とシミが取れない理由
アルコールには様々な種類がありますが、日本酒やビールなどは色素があまり濃くないので、衣類についた瞬間は目立ったシミにはなりません。
また、アルコールのシミは水溶性のシミなので、付いてすぐなら水洗いだけでも比較的かんたんに汚れを落とすことができます。
しかし、目立たないからといってそのまま放置してしまうと酸化し、黄ばみや変色、嫌な臭いの原因になってしまいます。
アルコールの染み抜き方法
アルコールが付いてできたシミの染み抜きを始める前に、必ず洗濯表示を確認して下さい。
桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる | |
桶に手は40℃を限度に手洗い可能 | |
桶に×は家庭での洗濯禁止 |
手洗い表示の場合は手洗いで、家庭での洗濯禁止の場合はクリーニングに依頼して下さい。
アルコールの染み抜きに必要な物
- 食器用洗剤
- 歯ブラシ
アルコールの染み抜き手順
素材によっては水で洗えないものもあるので、自宅で洗濯可能な衣類なのかを洗濯表示で確認してから、シミ抜きを行うようにしましょう。
1.シミ部分に食器用洗剤をつけます。
2.歯ブラシでシミを優しくトントン叩きます。
3.水またはぬるま湯ですすぎます。
4.最後に、いつも通り洗濯機で洗いましょう。
ゴシゴシ擦ってしまうと衣類の繊維を傷めてしまいます。また、汚れを広げてしまい落ちにくくなってしまいますので、かならず歯ブラシで優しく洗うようにしてください。
時間が経ったアルコールのシミの落とし方
アルコールのシミは時間の経過と共に黄ばみが起きます。衣類にシミが付着してから時間が経って落ちないシミになってしまった場合は、漂白剤で落としていきましょう。
三角は塩素系及び酸素系の漂白剤を使用可能 | |
三角に斜め線2本は酸素系漂白剤は使用可能だが塩素系漂白剤は使用禁止 | |
三角に×は塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止 |
漂白剤の使用可否は洗濯表示で確認した上で進めて下さい。
用意する物
酸素系漂白剤(液体)
セスキ炭酸ソーダ
クエン酸
ドライヤーまたは熱湯
手順
1.シミ部分にセスキ炭酸ソーダをふりかけ、その上から酸素系漂白剤をかけます。
2.ドライヤーの温風を当てて温めるか、コップに熱湯を入れ、シミ部分にゆっくりかけて5分~10分ほど放置します。
3.アルカリ性を中和するために、クエン酸を水に溶かしたものをシミ部分にかけます。
4.シミが残っていたら、根気よく同じ作業を繰り返しましょう。
5.シミが落ちたら、いつも通り洗濯機で洗って完了です。
アルカリ性はタンパク質を溶かす性質があるため、ウールやシルクなどの動物性の素材は痛めてしまう可能性があるので注意しましょう。
外出先でアルコールのシミの応急処置
シミは少しでも早い処置が肝心です。正しい方法で応急処置をすることによって、帰宅後の洗濯でシミを落としやすくすることが出来ますので覚えておきましょう。
1.ティッシュや紙ナプキンで、シミを軽く拭きとります。
2.シミの裏側に乾いたティッシュなどをあて、水で濡らしたティッシュでシミ部分を軽くトントン叩き、シミを移していきます。
3.乾いたティッシュなどで水分をしっかり吸い取ります。
飲食店などのおしぼりは、塩素系漂白剤で処理されている場合が多いため、衣類の色落ちにつながる可能性があるので使わないようにしましょう。
赤ワインの成分とシミが取れない理由
赤ワインの特徴である赤い色は、ぶどうの果皮に多く含まれる、水溶性の抗酸化ポリフェノールである「アントシアニン」や、果皮や種子に含まれる「タンニン」から抽出されます。
赤ワインは、果皮や果実、種子などすべて一緒に醸造するため、これらの成分がワインのなかに豊富に含まれ、色鮮やかな赤い色になるのです。
アントシアニンは、ブルーベリーやカシス、チェリーなどにも含まれていて、アントシアニンの成分は時間が経つと酸化して落ちにくくなってしまいます。
白ワインの場合、アントシアニンやタンニンが多く含まれる果皮と種子を取り除いてから醸造されているため、色素が薄くシミが目立ちませんが、放置してしまうと酸化して黄色く変色してしまう可能性があります。
ワインの汚れは水溶性のため、付いてすぐに対処すれば落とせるシミですが、時間が経つと非常に落ちにくいシミになります。
赤ワインの染み抜き方法
赤ワインの染み抜き
用意する物
- 弱アルカリ性洗剤
- タオル
- 歯ブラシ
赤ワインの染み抜き手順
洗濯用洗剤をシミに直接つけると、青く変色する場合がありビックリすると思いますが、洗濯すると色は落ちるのでご安心ください。
1.ワインがついた直後であれば、シミの水分をタオルで叩くようにして拭き取ります。
2.シミ部分の裏側にタオルをあてます。
3.シミ部分に直接洗剤をつけます。
4.歯ブラシでシミをトントン叩き、裏に当てたタオルをずらしながらシミを移していきます。
5.水またはお湯ですすぎます。
6.シミが残っているようなら、③~⑤を繰り返します。
7.最後に、いつも通り洗濯機で洗いましょう。
シミ抜きは、シミの外側から中心に向かって落としていくと、周りににじんだシミが残ることを防ぎ、きれいに落とすことができます。
ゴシゴシ擦ってしまうと衣類の繊維を傷めてしまいます。また、汚れを広げてしまい落ちにくくなってしまいますので、かならず歯ブラシで優しく洗うようにしてください。
炭酸水で赤ワインのシミが落ちる?
炭酸水に含まれている二酸化炭素には、汚れを浮かせてくれる性質があります。二酸化炭素のはじける泡が細かい繊維とシミ汚れの間に入り込み、繊維の奥から赤ワインのシミを浮かせてくれるのです。
また、炭酸水は飲食店やコンビニなどでも売られているので、外食などで、洗剤やシミ落としがない場合の応急処置としても使えます。
用意する物
- 炭酸水
- タオル
- 歯ブラシ
手順
1.シミ部分の裏側にタオルをあてます。
2.炭酸水をシミ部分に少量かけます。
3.歯ブラシやタオルで汚れの部分をトントンと軽く叩きます。シミの範囲が広い場合には、別のタオルに炭酸水を含ませ、トントンと叩いていってもOKです。
4.シミが残っているようなら、②~③を繰り返します。
5.シミが落ちたら、いつも通り洗濯機で洗いましょう。
糖分や色素が入っていると、赤ワインの染みが取れても新たな染みを作ってしまいます。染み抜きには、糖分や果汁の含まれていない炭酸水を使いましょう。
炭酸水に含まれる二酸化炭素は、開封直後からフタの隙間を通って、どんどん空気の中に逃げ出していきます。
開封後の炭酸水では、十分なシミ抜き効果が得られない可能性が高くなりますので、炭酸水をシミ抜きに使う場合は、未開封、もしくは開封してあまり時間が経っていないものを使うようにしましょう。
塩で赤ワインのシミが落ちる?
赤ワインのシミは、繊維につけてしまったすぐ後であれば、塩でシミ抜きすることができます。塩には水分を引き寄せる性質があるので、これを利用して赤ワインを吸い取らせるのです。
塩はどのご家庭にもあり、普通の食塩を使用するので、わざわざシミ抜き用に材料を購入する必要もなく、手軽に染み抜きすることができます。
手順
1.赤ワインのシミ部分に塩をこんもりと、盛り上げるようにのせます。
2.塩をシミにグッと押し付け、赤ワインを塩に吸い取らせます。
3.赤ワインが染み込んだ塩を取り除き、足りないようなら新しい塩をのせて、数分放置します。
4.塩を取りのぞき、塩を繊維に残さないようにもみ洗いし、ふつう通り洗濯機で洗いましょう。
牛乳で赤ワインのシミが落ちる?
ワインに含まれる色素は、牛乳の脂肪分と結びつきやすいという性質を持っています。そのため、牛乳の脂肪分が、赤ワインを吸着してくれます。
脂肪分が多いほど効果は高まりますので、低脂肪や無脂肪ではなく、成分無調整の牛乳を使ってください。この方法は、付着してから時間がたってしまった赤ワインのシミにも効果があります。
用意する物
- 牛乳
- 鍋
手順
1.鍋に、衣類が浸せる量の牛乳を入れて温めます。
2.沸騰する手前で火を止め、シミが付着した衣類を牛乳に浸します。
3.そのまま30分ほどつけ置きします。
4.水でよくすすぎ、最後にいつも通り洗濯機で洗いましょう。
時間が経った赤ワインのシミの落とし方
シミが付いてから時間が経ってしまい、乾いてしまった赤ワインのシミの場合は、酸素系漂白剤を使ってシミ抜きをしましょう。酸素系漂白剤であれば、色柄物にも安心して使うことができます。
用意する物
- 食器用洗剤
- 酸素系漂白剤
- 歯ブラシ
- 洗面器やバケツなどの容器
手順
1.シミ部分の裏側から水をかけて湿らせます。
2.シミ部分に食器用洗剤を1~2滴垂らします。
3.歯ブラシでシミの裏側から、やさしくトントンと叩きます。
4.シミの裏側から流水をあてて、シミ汚れと洗剤を洗い流します。
5.酸素系漂白剤をシミに直接かけます。
6.洗面器などの容器に40~50℃ほどのお湯を入れ、10分程つけ置きします。
7.軽く水気を切り、いつも通り洗濯機で洗いましょう。
外出先で赤ワインのシミの応急処置
シミは少しでも早い処置が肝心です。出先で完璧にシミを取り除くことはできませんが、正しい方法で応急処置をすることによって、帰宅後の洗濯でシミを落としやすくすることが出来ますので覚えておきましょう。
手順
1.ティッシュや紙ナプキンで、赤ワインの水分を十分に吸い取ります。
2.シミの裏側にティッシュなどをあて、水で濡らしたティッシュでシミ部分を軽くトントン叩き、シミを移していきます。
3.乾いたティッシュなどで水分をしっかり吸い取ります。
飲食店などのおしぼりは、塩素系漂白剤で処理されている場合が多いため、衣類の色落ちにつながる可能性があるので使わないようにしましょう。シミを残さないためには、自宅に帰ってからなるべく早くシミ抜きを行いましょう。
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