スーツのジャケットやズボンのテカリの原因とアタリとの違い
スーツは基本的に、ウール100%もしくは、ウールとポリエステルの混紡生地で作られています。
ウールには、髪の毛と同じようにキューティクルがあるので「圧力」や「摩擦」などによって、生地の繊維が押しつぶされて負担がかかり、表面が平らになり光が反射することによって「テカリ」や「アタリ」が起こります。
また、「テカリ」と「アタリ」は同じような見え方ですが、原因が異なるので言葉の使い分けがされています。
【テカリ】身体の動きや癖などにより圧力や摩擦、張力、屈曲などが原因で光っていること。また、汗や汚れの油分も原因のひとつ。
【アタリ】アイロンなどの圧力によって生地の表面の繊維がつぶれて光っていること。
ジャケットのテカリの原因
- 肩(リュックなどを使用しているため)
- 肘や袖口(デスクに接する部分のため)
- 背中(背もたれに寄りかかるため)
パンツのテカリの原因
- お尻(座った時に体の重みで圧力がかかるため)
- ふくらはぎの裏側や膝(椅子に触れたり、しゃがんだ時に床に膝をつくため)
スーツにテカリが出たら寿命で捨てるべき?

スーツのテカリが出たからといって、すぐに捨てる必要はありません。テカリが出る原因は、スーツの素材や品質、着用頻度、お手入れ方法などによって異なります。
テカリが出やすい素材
- ポリエステル
- アクリル
- ナイロン
- レーヨン
素材や品質が低い場合は、比較的短い期間でテカリが出る可能性があります。そのため、高品質のスーツを選ぶことが重要です。
また、着用する頻度やクリーニング方法によってもテカリが出やすくなることがあるので、スーツを着用後はブラシで軽くブラッシングをしたり、湿ったタオルで拭くことで汚れや汗を落とし、テカリを防ぐことができます。
また、クリーニングの際にも、専門店に依頼することでスーツの状態を保ちながら汚れを落とすことができます。
ブラッシング方法
柔らかめの毛足の短いブラシを用意。色移り防止のためブラシを分け、スーツのサイズに合ったものを選ぶ
【馬毛や山羊毛】
柔らかくキメが細かいため、デリケートなシルクやカシミアなどの素材にも使用できる
【豚毛】
コシのある毛質で、特に黒豚毛は白豚毛よりも硬めのことが多い。一般的なスーツには豚毛を使用することがおすすめ
シワ防止のためハンガーの肩部分にスーツの肩をかけ、風通しの良い場所で換気しておく
「上から下」次に「下から上」に向けてブラッシングする
【手順】
両袖→前身頃→後身頃→襟を裏返す→襟を戻して襟と肩→スーツのパンツ
布に少量の中性洗剤をつけ、軽くこする。ただし、スーツの負担を減らすため必要最小限にとどめる
スーツの毛足を立ち上げるようなイメージで整える
テカリが激しく、状態が悪くなってしまった場合は修理やリフォームを検討することもできますが、コストや手間がかかる場合があります。
そのため、スーツのテカリが出たからといって、すぐに捨てる必要はありませんが、適切なお手入れや管理を行うことで、長く着用することができます。
スーツのテカリを直す方法

スーツのテカリを改善する方法として、以下4点をご紹介します。
スチームアイロンでシワを伸ばす
テカリ部分を、スチームアイロンで軽くシワを伸ばします。スチーム機能があるアイロンを使い、スーツに直接当てず適度な距離を保ちながらシワを伸ばすようにしましょう。
【スチームアイロンのかけ方】
- スーツをアイロン台に置き、スチームアイロンを準備する。
- スーツとアイロンの間に綿素材の布を挟み、アイロンを当てる
- スーツを吊るし、しばらく放置する。
重しをのせて伸ばす
テカリ部分に重しをのせ、時間をおいて伸ばす方法もあります。ただし、スーツの素材によっては、重しをのせすぎると生地を引っ張りすぎてしまい、それ自体が傷みの原因となることがあります。
また、重しをのせる時間や量も適切に調整しなければならないため注意が必要です。重しは素材に合った方法を選ぶようにしましょう。
一般的なスーツ(ウールやポリエステル素材)のテカリが出ている部分に適度な重さの重しを乗せる場合は、使用されるものとして以下のようなものがあります。
- ブッキング(布団干し用の重り)や、その代用品
- 本や雑誌、またはその他の重い物(水の入ったペットボトル等)
- スーツ用の重し(市販されているものがあります)
スチームクリーニングをする
テカリは、汗や皮脂などの汚れが付着したり、素材の光沢が変化したりすることで発生します。スチームクリーニングは、高温の水蒸気を使用するため、これらの汚れを効果的に除去することができます。
スーツ専門店などで、専用のスチームクリーニング機器を使いスーツの表面に軽くスチームをかけることで、テカリを改善することができます。
水洗いをする
おしゃれ着用洗剤で水洗いすることで、平らになった生地をふんわりと立ち上げることができるため、それによってテカリを改善することができます。
ただし、一般的な服とは違いスーツなどは素材によって、縮んだりシワや毛玉ができたりととてもデリケートなので自宅で洗濯することはおすすめしません。テカリが気になった時は、クリーニング店に相談するようにしましょう。
スーツのテカリを防止する方法

■スーツを休ませる
スーツを2.3着 用意し、着回すのが理想です。
■スーツを着る前に手洗いやアイロンがけをする
手洗いやアイロンがけをすることで、汗や皮脂などの汚れを取り除き、スーツのテカリを防止することができます。
■スーツにかかる摩擦を減らす
摩擦や圧力によって、素材の光沢が変化してテカリが生じます。ただし、スーツを着用する際に摩擦がかかることは避けられません。
できるだけ摩擦を減らすよう以下のポイント意識して過ごしてみましょう。
- スーツのサイズを適切に合わせる
- サイズのあったハンガーにかける
- 素材に注意する(滑らかな素材は、摩擦がかかりやすい傾向あり)
- ベルトを締める(腰回りの動きが制限され、摩擦のかかる範囲が軽減)
- 身体に沿うように動く
■酢水スプレーをする
酢は、スーツに付着した油脂分を分解して取り除くことができるため、テカリを防ぐためには効果的な方法の一つとなります。酢水の作り方は、
- 酢に対して水2割を容器に入れる
- ガーゼやコットンに酢水を含ませて、気になる部分を軽く湿らせる
- 上から当て布をして低温でアイロンをかける
- 湿り気が残った状態でアイロンをやめてブラッシング後、風通しの良いところで陰干しする
■適切な保管方法を実践する
湿気や汗などがたまると、スーツのテカリを引き起こす原因になるため、風通しのよい場所にかけることが重要です。
■適切な洗剤を使用する
中性洗剤を使用することで、テカリの原因である摩擦を抑え優しく汚れを取り除くことができます。また、柔軟剤を使用する場合、柔軟剤が付着しすぎると素材が柔らかくなりすぎて、シワがつきやすくなることがあるため控えめに使用しましょう。
スーツなど服のテカリ取りはクリーニングで可能か?料金目安

テカリは、クリーニングによって取り除くことができる場合があります。
クリーニング店では、
水洗い | 温水で衣類を洗う技法 |
炭酸ガス洗浄 | 繊維に炭酸ガスが入り込むことで汚れを浮き上がらせる技法 |
重曹処理 | 重曹のアルカリ性を生かして酸性の汚れを中和させる技法 |
スーツのテカリ取りをクリーニングに出す場合の費用は、クリーニング店や地域、衣服の種類、汚れの状態などによって異なりますが、一般的に、スーツのテカリ取りを含むドライクリーニングの料金は、2,000円〜5,000円程度で、水洗いの場合3,000円〜8,000円程度が相場です。
定期的にクリーニングを行うことで、スーツや衣服に付着した汚れやニオイ、テカリを予防することができるので頻度としては、一般的には1〜3ヶ月に1度程度がクリーニングに出すことをおすすめします。
ただし、スーツや服の素材や状態によっては、テカリを完全に取り除くことができない場合があります。また、素材や色落ち、縮み、変形などのリスクがあるため、クリーニング店選びや取り扱いには注意が必要です。
クリーニング後にテカリがあると弁償してもらえるのか?

スーツのテカリを取り除くための特殊な処理を行っても、スーツの素材や汚れの状態によっては、テカリを完全に取り除くことが難しいことがあります。
クリーニング店によってはスーツのテカリ取りを行った際に取り除けなかった場合、弁償する場合があります。ただし、弁償の対象となる場合については、クリーニング店によって異なりますので、事前に確認することが重要です。
また、テカリがなかったはずなのにクリーニングへ出した後テカリができているという事例もあります。そのため、手元にスーツなど衣類が返ってきた段階で、すぐに仕上がりをチェックしましょう。
電話では伝わりづらい場合もあるため、直接店舗まで持っていき対応するのがより確実です。(遠方で店舗へ行けない場合は、写真を取りメールにて確認するのも方法の一つです)
まず、クリーニングに出す時は、事前にテカリがないか店舗スタッフの方と一緒に確認をしましょう。
クリーニング店によって保証期間は異なりますが、多くの場合はクリーニング後、数日~数週間程度の期間を設けており、保証期間中にクリーニング済みの衣類に問題がある場合は、再度クリーニングに出すことができます。
ただし、保証期間中であっても、クリーニング店が責任を負うのはクリーニングによる問題に限られます。
例えば、衣類に破損などがあった場合は、それはクリーニング店の責任となりますが、衣類の素材や汚れの状態によっては、テカリ取りが完全にできなかった場合でも、クリーニング店は責任を負わない場合があるため再度クリーニングに出す前に、クリーニング店に確認しておくことをお勧めします。
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