最近では、多くのブランドから販売されている「洗えるスーツ(ウォッシャブルスーツ)」ですが、一般的なスーツとの違いは ”洗えるってことだけしか知らない” という方が多いのではないでしょうか。
そんな「洗えるスーツ」の素晴らしい機能や特徴を知った上で、メリット、デメリットについても考えていきましょう。
洗えるスーツとは?機能や特徴とメリット・デメリット
洗えるスーツと普通のスーツの違いとは?
まずは、洗えるスーツが一般的なスーツとどこが違うのか。
■家庭用洗濯機でも耐えれるように、縫い目がしっかりしている
■縮みや型崩れが起こりづらいように特殊加工されていて、シワになりづらい特殊加工の種類として、主に4種類あります。
スーパーウォッシュ加工 | 防縮加工がされている方法 |
サンシルク加工 | 繊維と繊維の隙間に入水しないよう橋をかける方法 |
サンフォライズ加工 | あらかじめ強引に縮めることで後から洗濯などで縮まないようにする方法 |
ネバーシュリンク加工 | 毛表面を溶かし落とし、繊維同士が絡まないようにする方法 |
■ストレッチ性があり軽く、長時間着用していても負担にならない
■毛玉になりづらく、速乾性が優れている
洗えるスーツの素材や生地の違いは?
一般的なスーツで、最もオーソドックスな素材はウールです。ウールは保湿・吸湿性に優れており最適な着心地をお楽しみいただけます。
また、ウール以外にもモヘア・カシミア・シルク・コットンなどがあります。
一方、洗えるスーツの素材はウール50%・ポリエステル50%を使用していることが多く、この素材は形態安定に優れているため、自宅で洗濯した場合も扱いさえ間違わなければ、シワや型崩れなどが起きず常に清潔な状態で着用することができます。
仮にポリエステル100%だと、洗えるスーツにもっと向いているのでないかとお考えの方もいるかもしれませんが、そうなるとデメリットとして高級感が出ず、ウールの特徴でもある暖かみのある風合いが出ません。
そのためウール50%・ポリエステル50%を使った洗えるスーツが多いです。
洗えるスーツと普通のスーツの見た目での見分け方
見分け方として、洗濯表示タグを確認しましょう。
![]() | 桶に40は液温は40℃を限度とし、洗濯機で洗濯できる |
![]() | 桶に×は家庭での洗濯禁止 |
洗濯表示タグは、ジャッケット・パンツの両方についているのでどちらも確認し、洗濯桶のマークにバツが表記されていなければ、自宅で洗濯が可能です。
洗えるスーツのメリット
- クリーニング代が抑えられるため経済的
- 持込・受取など面倒な手間が省ける
- ポリエステルの素材を使用しているため軽く快適
- いつでも清潔な状態で着用できる
- 出張先でも洗濯ができ何着も持って行かずに済む
- 梅雨時期など、雨の日におすすめ
- ECOに繋がり環境保全になる
また、洗えるスーツはオーダーメイドで作ることも可能です。
人それぞれ体型のクセがあり、肩幅や腕の長さ・胴回り・足の長さはもちろん、猫背やいかり肩といったクセがある方もオーダーメイドで仕立てることで、心地の良い着心地になります。
洗えるスーツのデメリット
とても利便性が高い洗えるスーツですが、残念なことにデメリットもあります。
- 自分で洗う手間がやアイロンが必要な場合も
- 生地が薄く着用シワがつきやすい
- シャワー専用スーツは縫い目部分が緩みやすい
また、洗濯しても型崩れしないようにポリエステルなどの化学繊維を用いた生地のため、見た目が安っぽいというデメリットもあります。
そのため、仕事柄デスクワーク中心で、クライアントと会わないようであれば問題はないですが、営業職など多くのクライアントと接する場合は、見た目も仕事に影響するためあなたの評価が下がるリスクがあります。
洗えるスーツはコスパがいいのか?
各スーツブランドで展開されている洗えるスーツの相場は、約10,000円~50,000円程度で購入することができます。
金額の差として、やはり安価なものは生地が安っぽい見た目のものがあるため、こだわりがある方は見極めが必要になってきますが、仕事柄特に気にする必要がない方には、とてもリーズナブルです。
また「結局、定期的にクリーニングに出すならコスパ良くないのではないか?」と感じた方もいいるかと思います。
ただし、洗えるスーツは正しい洗濯方法を習得し、習慣付けることで便利に利用することができます。
洗えるスーツの失敗しない洗い方と洗濯頻度

洗えるスーツのおすすめ洗濯頻度
そのため、洗う頻度としては”汚れが目立ってきたな”と感じるタイミングで、月に1.2回程度。夜にうちに洗濯をしておけば、翌朝には乾いた状態で気持ち良く着ることができるでしょう。
洗えるスーツの洗濯時の注意点
先程もお伝えしたように、洗えるスーツは一般的な洗濯物と方法が異なるため、8つの注意点があります。
- 洗濯タグをチェック
- 色落ちしないかチェック
- 襟、袖などは、あらかじめ部分洗い
- 中性洗剤を使用する
- 水温は30度以下、水流は弱め
- 脱水は短め
- ジャケットとパンツの洗濯はセットで行う
- しっかり乾かす
1.洗濯タグをチェック
そもそも家庭用洗濯機で洗えるスーツなのか、洗濯タグをチェックします。
2.色落ちしないかチェック
スーツの目立たないところに洗剤の原液を少し塗布します。その後5分程度待ち、洗剤を塗布した箇所にティッシュや乾いた白いタオルなどを優しくあて、色が移っていればその生地は色落ちしやすいと判断できます。
この場合は、自宅での洗濯は避けクリーニングに出すことをおすすめします。
※ジャケットの裏地でキュプラが使用されていれば、こちらも確認をする
3.袖などは、あらかじめ部分洗い
洗濯機で洗う場合は、優しく洗えるモードを設定するため汚れが蓄積しやすい箇所の頑固な汚れは、事前に手洗いしておきましょう。
4.中性洗剤を使用する
一般的な洗濯洗剤はアルカリ性洗剤のものが主流ですが、洗浄力が高いため色褪せの原因となる可能性があります。また、柔軟剤も生地を傷める原因となるため使用を避けましょう。
そのため、オシャレ着洗いなどで使用する中性洗剤を使うのが理想です。
※洗濯機メーカーによっては、スタートボタンを押した後、洗剤量が表示されるメーカーもあるため、取扱説明書をご確認ください。
5.水温は30度以下、水流は弱め
熱いお湯は変色の原因となる可能性があるため、水温は30度以下。洗濯機の設定は、優しく洗えるモードを選ぶ。
6.脱水は短め
長時間脱水を行うと、繊維を傷めてしまったり、シワがつく恐れがあります。そのため、目安としては1分程度でOK。また、シワの原因となる乾燥機はNG。
7.ジャケットとパンツの洗濯はセットで行う
別々で洗濯することによって、頻度が異なり上下で色味が異なる恐れがあります。見た目の印象も良くないため、上下セットで洗濯しましょう。
8.しっかり乾かす
縫製時に使用する溶剤(無公害)が原因で、臭いが発生する場合があるため、完全に乾かすようにしましょう。
洗えるスーツの洗い方と手順
洗い方に関しては、3パターンの洗濯方法をご紹介します。
洗濯機での洗い方と手順
パンツはファスナーとボタンを閉める
ネットがなければタライで押し洗い
他の衣類と洗わずスーツのみで洗う
手洗いの洗い方と手順
シャワーでの洗い方と手順
ジャケットは袖も含めて裏返し、パンツも裏返してどちらもハンガーにかける。
目安は2~3分程度、水温が高いと変色や皮脂汚れ等のタンパク質汚れが凝固する可能性あり。
目安は1~2時間程度。
洗えるスーツの干し方と乾燥機を使う方法

干し方が適切でないと型崩れやシワの原因となります。また、コインランドリーや家庭用乾燥機は、小ジワや収縮の原因となるので使用は避けましょう。
仕上がりに大きく影響を与えるため、干す時のポイントをしっかり押さえておきましょう。
■直射日光の当たらない、風通しの良いところに干す
直射日光は紫外線の影響で色褪せをする可能性が高いので、風通しの良い場所で陰干ししましょう。
乾かない場合は袖口に丸めたタオルを入れ込むことで、水分を吸収し早めに乾かすことができます。また、袖全体のシワも伸びて一石二鳥です。
■肩に厚みのあるハンガーを使用
もし、厚みのあるハンガーがなければハンガーの肩部分にタオルを巻いてジャケットをかけることで綺麗なシルエットを再現することができます。
■パンツの干し方は2パターン
【筒干し】
立体的に干すことで乾くスピードがかなり早くなります。ただし、ラインをしっかりさせたいスラックスの場合は、アイロンがけが必要になる可能性があります。
【センターライン干し】
センターラインでしっかりと折り、ウエストを下へ向け裾部分をピンチで挟みます。また、シワを伸ばすようなイメージで縫い目に沿って軽く叩くことで仕上がりが綺麗になります。
洗えるスーツのシワをアイロンで取る方法と手順

アイロンの場合(アイロン台使用)
設定温度は140度~160度で、綿素材の当て布必須です。
ジャケットのアイロンがけ手順
アイロン台にジャケットを着せるように置いて、肩の上部からラインを崩さないように優しくかける
左右片面ずつアイロン台に置き、胸ポケットにボタンがある場合はシワにならないように軽くプレスする。襟部分は、裏側からかけて形を整えたあと、表側のラインを決める
襟を裏返し裏側からアイロンをかけて、芯地を引っ張りながらシワを伸ばす。
アイロン台に着せるように置いて、中央から外に向かってかける
立体的な形が崩れないよう、特に優しくかける
スラックスのアイロンがけ手順
アイロン台に着せるように置き、裏地からプレスしていく
折り目を注意しながらかける。元々、センタープレスがされていればそれに合わせてかける
内側からアイロンをかける
ハンディーアイロン(スチーマー)の場合
ハンディータイプでも、ドライ機能のみ、またはドライ+スチーム機能が付いてるタイプがあります。
洗えるスーツのため、スチーマー使用可能だか洗えるスーツの素材であるポリエステル等は、水分を含ませてもあまり効果がないためドライでのアイロンに向いています。
ただし、スチームを当てることで除菌、消臭効果もあります。また、ハンディーアイロン(スチーマー)を使用する場合も必ず当て布をしましょう。
- ハンガーが動かない安定した場所にかける
- スーツを引っ張りながら、スチームを当てる
- しっかりと仕上げたい箇所はアイロン台かミトンを使用
洗えるスーツが白くなる原因と対処法

汚れなどで白くなることではなく、スーツなどの衣類が着用や洗濯を繰り返すことで起きる「白化現象」
生地が傷んでしまっていることが原因ではありますが、洗えるスーツの場合正しい扱い方をしなければ色褪せの原因にもなります。他にも繊維の毛羽立ち、紫外線による色褪せ、洗剤に含まれる蛍光増白剤が原因です。
また、濡れた状態で擦れるとより白くなるため、洗濯後はしっかり乾燥させましょう。
白化現象は洗濯のみならず、日々の動作、姿勢、癖なども大きく関係してきます。詳しい情報は、下記URLからチェックしてみてください。
洗えるスーツのクリーニング費用

スーツのクリーニングは、ドライ溶剤(石油系有機溶剤)を使用して汚れを落とすドライクリーニングと、水と専用の洗剤を使用して汚れを落とすウェットクリーニングがあります。
ドライクリーニングは型崩れやボリュームダウンや縮みなどのトラブルを避けることが可能。
一方、ウェットクリーニングは大半の汚れをしっかり落とすことが可能なので、洗うものによってどちらが適切か、わからなければ店員さんに相談しましょう。
クリーニング店のタイプ | 料金相場 |
---|---|
一般的なクリーニング店 | 約1,000円~2,000円 |
高級クリーニング店 | 約5,000円~ |
宅配クリーニング | 約1,000円~2,000円 |
洗えるスーツの購入を悩まれている方、購入しても洗い方わからないしな~とお悩みの方は、ぜひこちらを参考に時間とコスパを考え新しいスーツとの付き合い方を試してみてはいかがでしょうか。
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